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フィンランド教育の特徴とは?世界一といわれる理由からデメリットまで解説

2021/8/17
フィンランド教育の特徴とは?世界一といわれる理由からデメリットまで解説

はじめに


日本の教育の形に疑問を投げかけられる機会を多く目にする昨今、日本とはまた違う教育方式で世界的に注目を集めたフィンランドでは、どのような理念や方法で教育が行われているのでしょうか?フィンランドと日本の学力差や、教育の特徴、授業での取り入れ方についてご紹介します。

フィンランド教育が世界トップといわれる理由

フィンランドの教育が世界でもトップクラスだと日本で注目されるきっかけとなったのは、ヨーロッパやアメリカをはじめとした先進国34ヵ国で構成されている経済協力開発機構(略称:OECD)が3年ごとに各国の15歳を対象に実施する「学習到達度に関する国際調査(通称:PISA)」にて、フィンランドが「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」分野において、それぞれ2000年に1位・4位・3位、2003年には1位・2位・1位、2006年には2位・2位・1位という結果を収めたことにあります。
フィンランドはどの分野においても安定した好成績を出しており、他国よりも突出して教育レベルが高いとの認識が広がりました。
参考元:よくある質問集 OECD(外務省)

フィンランドと日本との学力の差

さて、気になるのは世界トップクラスのフィンランドと日本の学力の差です。
PISAで評価される「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」における平均得点を比較しました。

出典元:OECD生徒の学習到達度調査(PISA)/国立教育政策研究所

  • 「読解力」分野

読解力において日本は他の分野よりも低い傾向にあります。一方フィンランドでは読解力において他分野との差は見られません。

  • 「数学的リテラシー分野」

数学的リテラシー分野は日本をはじめとしたアジア諸国の得意分野であり、2018年のPISAにおいては日本がフィンランドを上回っています。しかしながら、フィンランド以外のヨーロッパ諸国は一部を除いて数学的リテラシー分野の平均点が日本よりも低く、ヨーロッパにおいてフィンランドの教育水準が突出していることがわかります。

一見、フィンランドと日本の学力差があまりないようにも捉えられますが、それでもなおフィンランド教育が注目される理由は他国とは一線を画す特徴的な学習方法を取り入れているからだと考えられます。
3年ごとに行われるPISAにおいて日本は数学的リテラシー、科学的リテラシー分野において好成績を収めていますが、言語の差があるとは言えフィンランドはどの分野でも一定の結果を出しているのです。

  • 「科学的リテラシー分野」

科学的リテラシー分野も数学的リテラシー分野と同じく、2018年には日本がフィンランドよりも上位をマークしています。2003年においては平均点が同じであるため、フィンランドと似たような水準であることがわかります。

フィンランド教育の特徴

PISAで素晴らしい結果を残しているフィンランドですが、教育における理念や制度が確立しており、しっかりと成果に結びついています。教育に対する姿勢や、実施されている政策は国がどれだけ教育に力を入れ、大切だと考えているのかが色濃く反映されるものです。
フィンランドは教育をどのように捉え、高水準な教育を施しているのでしょうか?
フィンランドの教育についてご紹介します。

【フィンランド教育の前提】

フィンランドの学力観の根底にあるのは、ヴィゴツキーが提唱した 社会構成主義(social constractivism)であるとされる。
(中略)
したがってフィンランドのおける学習とは、実践的・社会的な目的のために、知識や情報を収集し、それを自分なりに再構築・編成して、社会に発信することであり、主体的な営みでありながらも他人との相互的な関わりに立脚しているのである。

引用元:フィンランド教育の背後にあるもの(順天堂看護保険研究)

ロシアの心理学者であるヴィゴツキーが説いた、教育におけるおける社会構成主義に基づいた学習とは、生徒が先生の力を借りながら自分自身で問題解決に取り組むことを指します。
ヴィゴツキーの考え方を教育に取り入れる場合、生徒が実践的に学習に取り組む際、より学習領域に精通した指導者が必要になるため、必然的に先生にもハイレベルな解決能力が求められます。
参考元:【社会構成主義】ヴィゴツキーの学習理論を分かりやすく解説/Hiroki Tobita|情報科教員

また、他にもフィンランドの子供に対する考え方として

子どもの利益を第一とすること、公平であること、子どもが守られ、ケアされ、発展していく権利である。さらに、参加する権利は、子どもが意見を表明する権利と、それが聞き届けられる権利である。ヘルシンキの基礎学校は、これらの原則を考慮に入れ、すべての学校でこれらを遵守する

引用元:フィンランドの教育、日本の教育/南山大学ヨーロッパ研究センター報
のように、子供の福祉を重視したものを前提としています。

子供の権利を第一とし、大人は子供の権利を守る義務があるというフィンランドの考え方に基づき、教育にも取り入れることによって高水準の教育が実現できていることになります。

【大切にしていること】
まず第一に、フィンランドにおいて「子供の平等」は大切な権利として掲げられています。

「性別、年齢、民族的出自、国籍、宗教、信条、思想、性的指向、病気、障がいによって異なる扱いを受けてはならない。
(略)教育及び、使用される教材は、平等の原則を支えるものであること。」
「異なる扱い」、つまり差別はいかなる理由によっても禁じられ、教育の無償と平等
が述べられている。

引用元:フィンランドの教育、日本の教育/南山大学ヨーロッパ研究センター報

日本においても子供の平等に対して同じような考え方を持っているイメージではありますが、フィンランドでは平等を徹底することに重きを置いており、フィンランドの持つ「子供の福祉の重視」をより強調しています。
「教育の中心は子供である」という至ってシンプルな理念のもと、大人の手によって子供の権利を重視した教育が施され、高水準な教育が実現しているのです。

制度における特徴

フィンランドでは独自の教育理念のもと、どのようにして制度に反映しているのでしょうか?
フィンランドの教育制度の特徴をひとつひとつ見ていきましょう。

①授業料が無料
ヨーロッパにおいては珍しいことではありませんが、フィンランドも例外ではなく義務教育~大学院まで授業料が無料です。
日本でも義務教育は授業料が無料とされていますが、フィンランドでは給食費も無料です。
学校教育における子供にかかる費用がかからないことによって、親の子供に対する教育費負担が削減され、金銭的理由で子供の将来の可能性が制限されません。前述した「子供の平等」にも通ずる制度です。

②教員の質が高い
フィンランドの教育の根幹でもあるヴィゴツキーの理論において大切なのは、問題解決に対して精通している教育者の存在です。フィンランドの教員になるための要件として修士号が必須になることも、ヴィフォツキーの教育理論に則った教育観念だと言えるでしょう。

教員には毎年の研修が義務付けられ、常に教育観や知識のアップデートが求められます。また、フィンランドでは教員の競争率が高く、教員の待遇や社会的地位が保障されることもあり、より教員に適した人材の確保が可能になっているのも教育水準が高い理由のひとつでしょう。

教員の社会的地位の背景には中央政府の管理を削減し、教員の裁量権を大幅に増やしたことにあり、国が教員の能力を保障することによって保護者・地域からの信頼に繋がっています。
参考元:「フィンランド教育」の特徴とは? 「教育費無料」にとどまらない、教育大国のシステム/こどもまなび☆ラボ

③教育制度の違い

上記の図からわかる通り、フィンランドでは日本の教育体系とは全く違いシステムが取り入れられています。特徴的なのは総合学校の終盤に「アカデミックコース」と「職業訓練コース」に分かれていることでしょう。進学したい子供と就職したい子供に分け、それぞれに最適な教育が受けられます。

日本の場合は高校で進学を目指す普通高校や就職に特化した専門高校に分けられますが、フィンランドのように進路に直接有利になるよう特化しているわけではありません。日本の画一的なシステムと比較すると子供の適性を活かす合理的で最適化されたシステムだと言えます。

進学に特化したアカデミックコースを卒業するには試験を受けねばならず、卒業時点で一定の基準以上の学力が身についていることになります。

また、大学の制度も日本とは全く違うことがわかります。日本の4年制大学を卒業すると「学士」、大学院の2年間で「修士」を経たのちさらに「博士」課程へと進みます。

大学院に進学しない限りは4年修了すると学士となりますが、フィンランドでは大学に5年間通い修士を修了して卒業します。その分専門分野に関する知識に差が出ることになり、フィンランドの教育制度の水準の高さが覗えます。

④個人内評価
フィンランドの教育は子供に負担をかけずに個々の可能性を最大限に活かすことができるとされている点で評価されており、成績評価は個人内で行うことを徹底しています。前期と比較しどの点ができるようになったのか等、個人内でのフィートバックをします。他者との比較がプレッシャーになってしまうため、統一テストはありません。

授業における特徴

フィンランドの授業の特徴

  1. クロスカリキュラムを重視
  2. なぜを追及する授業
  3. 学習のプロセス
  4. 一人ひとりの子供へタブレットを支給
  5. 学習時間が短い
  6. 中央政府発行の学習指導要領は大幅に削減・教科書検定も廃止
  7. 落ちこぼれを作らない授業


①クロスカリキュラムを重視
フィンランドでは教科の垣根なく、ひとつの物事について多面的な視点を持つことを重視した授業を組んでいます。例えば小学校3年生に3桁の足し算をしながら都市間の地図と距離を計算することで算数と地理が紐づいた学びになるように授業設計されているのです。
参考元:フィンランド教育の背後にあるもの(順天堂看護保険研究)

クロスカリキュラムの活用はそれほど難しいものでもなく、理科や歴史の授業を英語でしたり、ひとつの課題に対して各科目の視点からアプローチし、統計や多言語の論文を扱う等、実践に繋げやすいものが多いです。

②なぜを追及する授業
フィンランドでは教師が子供に「なぜ」を多く投げかけ、子供が日常的に「なぜ自分はそのように考えるのか」を自己分析しアウトプットする機会が多数あります。当たり前のことに対して疑問を持つ姿勢を持たせることで疑問」→「解決」を早くから身につけさせる訓練になるのです。
参考元:フィンランド教育の背後にあるもの(順天堂看護保険研究)

③学習のプロセス
日本の学習プロセスは、学習指導要領で扱う単元に対して「正解」があり、その正解を知識として獲得することに重きが置かれています。対してフィンランドでは、生徒が主体となり、教師は正解を教えるのではなく生徒のサポートをする授業スタイルです。生徒が知識を獲得するためにあらゆるアプローチをする過程を教師がサポートし、生徒自らあらゆる情報に触れて知識へ近づいていきます。
参考元:フィンランドの教育における知識獲得プロセスに関する考察(北海道大学高等教育推進機構)

④一人ひとりの子供へタブレットを支給
徐々に教科書を廃止し、タブレットを導入することでさまざまな情報に自分からアクセスでき、多面的な視点での学びを得られるようになっています。また、情報化社会に伴いタブレットを用いることで情報の取捨選択等のメディアリテラシーを学びことにも繋がります。
情報が信用できるものなのか見極め、批判的な視点を養うことにも役立ちます。

⑤学習時間が短い
PISAにて好成績を収めたフィンランドですが、OECD諸国の中で学習時間が特別長いというわけではありません。学習時間が最も長いアラブ首長国連邦の成績があまり振るわなかったことからも、成績と学習時間は比例しないことがわかります。
参考元:超短時間学習なのになぜ高習熟度? フィンランド教育の秘密/AMP

つまりフィンランドの学習効果の秘訣は、勉強時間を長く持たせることよりも、勉強時間に対し学習や教育環境の質を確保しより効果的な学習をすることにあるわけです。短時間学習で効果が出ることは日本においても実証されています。
参考元:6.各教科等における改訂の具体的な方向性(文部科学省)

⑥中央政府発行の学習指導要領は大幅に削減・教科書検定も廃止
日本では文部科学大臣の検定を通った教科書が、公立学校では管轄の自治体、私立・国立学校では学校長が採択し、生徒の元へと届きます。

対してフィンランドでは、教科書の決定権は自治体や校長ではなく教師自らが選定し、自身の授業で取り扱うことになります。そのため教師が自身の授業において一番取り扱いやすく、現場にいる生徒に最適化した教科書が届くことになり、より細かな授業が実現可能となるわけです。学習指導要領を細かく定めている日本とは対照的に、フィンランドでは学習指導要領を大幅に削減し教師の裁量の元授業が行われています。
参考元:教科書(文部科学省)

⑦落ちこぼれを作らない授業
フィンランドの授業は自主学習が中心です。テーマを決めて自身で調査し、レポートをまとめて発表する過程を経る授業では生徒一人ひとりが主体となって行う必要があり、フィンランドの「誰もが平等な教育の機会の保証」に専念したシステムに基づいた授業だと言えます。

上記のような流れは、いわゆる「落ちこぼれ」と呼ばれる子供は出づらく、教師のサポートを得ながら子供全員が良質な教育を受けられるようになっています。

あなたの授業への導入方法

フィンランドの教育モデルを授業に取り入れる場合の実践例をご紹介します。

①教科書やプリントの問題にクロスカリキュラムを導入
生徒の学年・習熟度に合わせて学習済みの単元を教科間の境目なく授業で活用しましょう。例えば、理科や社会科の英語の読み物を副教材として準備するだけでもクロスカリキュラムを実践できます。授業において他教科を扱うことで、生徒が他教科への興味を持ったり苦手意識を軽減することにも繋がります。

②なぜを追求する学習
生徒に答えを質問するだけでなく「なぜそう考えたのか」という問いかけを積極的に投げかけましょう。「問いに対する正解」を詰め込むだけの学習ではなく「なぜなのか」を重視することで生徒の思考力が深まります。

③実例に基づいた教育
ただ知識を詰め込むだけではなく、実例に基づき生徒に根拠を示した上で、どう社会や行動・現象に繋がっているのかを知識や学びと結び付ける授業をしましょう。

数学や理科が現在どのようなテクノロジーに反映されどう生活を支えているのか、歴史に基づき現在の社会はどのような形へと変化したのか、古語から現在の言葉にどのように発展しどのようなニュアンスに繋がったのか等、生徒がより学びを実感で知識を応用する術を身につける機会になります。

④生徒自身がともに授業を計画する
フィンランドでは生徒主体に授業が進行します。授業計画を教師だけが立てるのではなく、生徒が自身で計画することで授業に対して前のめりの姿勢で取り組めます。学習へのアプローチのための仮説や調査、結果観察等のフローを把握することで単元に対する体系的な把握が実現できます。

⑤共同作業に重点を置く
「生徒と教師共同で作っていく」授業を意識しましょう。教師が答えを教えることを授業の終着点とするのではなく、生徒が結論へとたどり着くためのサポートに徹しましょう。

⑥短時間学習を意識する
短時間で高い質の学習を意識しましょう。短時間でもより定着する授業を心がけ、細かなフィードバックをするとより効果的です。
学校においては「朝学習」として限られた時間に学習するスタイルをとっているところもあります。宿題を大量に出すのではなく、厳選した宿題を家でして、授業前の時間を確保し自主学習させる等、試行錯誤するのも良いでしょう。
参考元:公立小学校・中学校における短時間学習の実施状況(文部科学省)

導入の問題点

フィンランドの教育は実践しやすいものも多いですが、日本の学校や塾の現行システム上教科書やカリキュラムの裁量権を指導者が持たないことも多く、取り入れるのが難しいものもあります。また、現在の日本の入試方式や保護者とのすり合わせも難しく、教師ひとりの独断でフィンランド式教育法が実践しづらいことも確かです。

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