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clilとは?英語と他教科の統合型学習方法で授業の質を向上させる方法

2021/7/6
clilとは?英語と他教科の統合型学習方法で授業の質を向上させる方法

はじめに

ここ最近で英語学習法において注目を集めている「CLIL」(クリル)をご存知でしょうか。これまで日本で教えられてきたような英語学習法とは異なる指導ですが、研究が進められてとても効果的な学習方法だといわれています。

そこで今回は英語を指導する側の先生に向けて、CLILlとはなにか、そのメリットや実践例について解説していきます。
ぜひ参考にして英語の授業や指導に活かしていただきたいです。

「CLIL」(クリル)とは


CLILは「Content and Language Integrated Learning(内容言語統合型学習)」という意味です。要するに、理科や数学といった教科やテーマ(Content)の学習と、外国語(Language)の学習を組み合わせた言語学習法のことで、「英語だけを学ぶ」のではなく、「英語を使いながら他のことも同時に学んでいく」方法をいいます。簡単にいうと、英語「を」学ぶではなく、英語「で」学ぶといったことになります。

【CLILの特徴:内容が「4つのC」で組み立てられている】

  • Content=内容、トピック
  • Communication=読む、書く、聞く、話すといった言語スキルや言語知識
  • Cognition=考える力、認知力
  • Community / Culture=共同の学び、多文化・国際理解


CLILで大切にしていることは、英語でのディスカッションを通して、あるテーマについて学習するということです。対話を通して、英語のスキルはもちろん、考える力やコミュニケーション力や他者理解を育んでいきます。

そのため文法や単語の意味を学ぶような従来型の学習ではなく、副次的にそれらを学ぶことになります。
他にも課題を多く与えることや国際問題や異文化理解について考える機会を生むことで、日常で話すきっかけを作るようなプログラムになっています。

メリットや効果


CLILは第二言語習得学の理論にもとづいて設計されており、どうすれば効果的に学習ができるのかという観点で学習法が考えられています。
そんなCLILのメリットや効果について4つみていきましょう。

①英語の「聞く・話す・読む・書く」をバランスよく学ぶことができる
CLILではテーマについてある程度資は料を読んで学習したのちに、話すことや書くことでアウトプットをします。そのためただ読んだり聞いたりするだけよりも効果的かつバランスよく学習できます。なによりアウトプットする過程で読み聞きするという点が、従来の詰め込み型の学習とは異なる点です。

②言語が記憶に定着しやすい
内容のあるテーマを学習することで、暗記、理解、分析、創造など、あらゆるレベルの能力が同時に活用され、言語が記憶に定着しやすくなります。つまりはテーマに関連した単語を使うことで多くの語彙を学習し、テーマへの理解を深めながら関連付けて学ぶことができるのです。

③モチベーションが維持されやすい
語学だけに特化せず、社会や理科といった中身のある題材を通すことで、興味が持続しやすく、語学学習のモチベーションが維持されやすいという効果があります。
ただ目的もなく覚えるだけの授業ではとても退屈する、という経験は誰しもあるでしょう。モチベーションを維持するためには自分の興味と結びつけたり、頭で思考することが重要になってきます。ただ闇雲に学習するのではなく考えながら学習するため、CLILは生徒のやる気を高く維持してできます、

④英語学習への意識的なハードルが低い
多くの生徒にとっては英語学習が暗記ばかりで大変でつまらないという認識があります。一方でCLILでは英語に抵抗がある子供だとしても、そのテーマに集中して教材を見れば理解できるため、「英語の勉強」をしているという感覚が薄まります。また英語が得意な子供にとっては、さらに深く「考える力」を養うことができるため、生きた英語をそれぞれのレベルで習得することができると言われています。

デメリット

CLILにも導入するうえでいくつかデメリットがあります。
そこでデメリットについて3つ解説していきます。
①モチベーションを維持しにくい
メリットでもモチベーションについては取り上げましたが、英語の初学者にとってはモチベーションを維持しにくいという側面もあります。そもそも英語をアウトプットする前に少なからず単語の意味やテーマへの理解をしていなければ話すことはできません。そのため話すことができないと学習効果が見込めないばかりか、生徒がわからないからやる気がでないという原因にもなります。

②学習効率が低い
日本語と英語はかけ離れており、英語を理解しながら他の教科を学んでいくことは難しく、はじめのうちは時間がかかってしまいます。数学を学びながら英語も学ぶため一石二鳥のようにも思いますが、実際は学習量が2倍になったようなものです。そのため慣れるまでや英語力が身につくまでは学習効率が低く、それがモチベーションの低下にも影響してくるでしょう。

③教員への負担が大きい
CLILは生徒が大変なのはもちろんそうですが、準備する先生も大変です。生徒の話が円滑に進むようなファシリテーションや適切なテーマ選択や問の設計が求められます。他にも全員に等しく話す機会が与えられるわけではないため、学習に差が出てくるのでそのフォローもしなければなりません。

海外での実践例

イタリアやフランスなどでも小学校の授業で取り入れられ、言語学習時間の増加に成功しています。また2000年以降はタイ、インドネシア、ベトナムなど東南アジアの各国でも初等教育で導入され、成果をあげています。
他にはミネルバ大学という世界を転々としながら学ぶ大学でも積極的に取り入れられています。例えば毎授業へのテーマへの学習を数時間しなければ講義が受けられず、講義といっても教授が話すのは10分間までと決められているのです。それ以外は生徒同士でのディスカッションで進められるというとてもハードな講義です。

日本での実践例


海外では多くの実践例がありましたが、日本ではどうなのでしょうか。
日本でも静岡県の小学校や英会話塾などで導入されています。英語で算数を学習した学校では国語や算数の成績の向上は見られなかったが、英語力は向上したという結果が出ている。その一方で導入に際して、日本特有の社会的、文化的特徴や教育環境を認める日本固有な要素を取り入れたプログラムが必要だと指摘されています。

では具体的にどのように実践しているかをみていきましょう。

埼玉県立和光高等学校では、英語の授業内で災害やエネルギー問題といった、少し複雑な身近な問題について学習しました。そのなかでテーマに沿ったディスカッションやエッセイについての課題を実施ししています。ディスカッションの際には事前にALTとの学習時間やワード集を配るということや、文法について留意して話すことが意識付けられていました。
その結果として思考と協学による学習効果が高まったそうです。

立命館中学校では栄養や食についての学習を英語で行い、CLILクラスとそうでないクラスで比較しました。その結果CLILクラスで見られたのは思考のプロセスだと言います。思考のプロセスが変わり、深い思考で意見を考えられるようになったそうです。

日本ではCLIL(クリル)が浸透しない理由


日本では小学校でも英語の授業が必修となり始まりましたが、まだCLILの導入は広がっていません。それは教員において高い言語力が必要になってくるが、他教科の専門分野を交えながら英語で授業ができる教員が日本には少ないためです。その他にも授業内容(他教科)と言語の両方をバランスよく習得できるようになるためにカリキュラムの体系化が必要で、そこまで手が回らないことが多いのです。またこれまでの授業スタイルを踏襲する動きからインプット重視の授業が多いのも1つの理由に挙げられます。

CLIL(クリル)の指導法と注意点

CLILの指導で心配されていることがあります。それは早期での日本語能力がまだ未発達の段階では日本語への悪影響が出るのではないかということです。一方でヨーロッパでの検証結果によるとCLILの場合は母語への影響は見られないと言われています。どちらにせよ母語の発達を考えながらどのようにして導入するかを考える必要があります。

母語である日本語への悪影響を懸念する声もある。例えば,東京都知事の石原慎太郎や元文部科学大臣の伊吹文明のような著名な政治家は,この点から小学校への英語の導入に批判的である。しかし,ヨーロッパでの検証結果から見ると,CLIL の場合にはこれらの批判は当たらない(Bergroth, 2006; Seikkula-Leino, 2007)。

引用元:パーソンズ マーティン (Martin Parsons) - 日本の小学校にCLIL学習法を導入するにあたって - 論文

上記のことを踏まえて、集団で指導する場合と個人で指導する場合について見ていきましょう。

集団の場合

理科や算数ではなく、家庭科や図工など実践科目から徐々に英語で授業をして慣らしていく方法であれば、児童や生徒への負担は少ないでしょう。しかし、実践科目は安全に行うことが前提としてあるため、児童生徒に十分に伝わらないのは危険である可能性があるので学校側のサポートが必要です。ただ、英会話スクールなどで、英語を使って他のことをするレッスンであればすでに導入例はあり、良い効果を生むと考えられます。

個人の場合

英語の力を上げながら、他の教科を勉強したい生徒や、英語をネイティブレベルにしたい生徒が相手の場合、わかるまで対応することができるため、かなり高い効果を期待できます。現在の日本では、対個人の場合にCLILの効果をより発揮させやすいと考えられます。個人の場合はとにかく相手の考えを引き出すことや話しやすい雰囲気作りを心がけることが大切です。

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