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何歳までチャレンジできる?教員採用試験の年齢制限について解説

2022/10/6
何歳までチャレンジできる?教員採用試験の年齢制限について解説

教員採用試験の年齢制限は、年々緩和される傾向にあります。なぜなら、全国的に教員不足の状況が続いており、国が対策を必要としているからです。
今後、教員採用試験の受験を検討している方は、各自治体の年齢制限状況や、受験年齢別の合格率を知りたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、教員採用試験の年齢制限が緩和されている背景や現状、受験者年齢別の合格率について解説していきます。
教員免許を活かして、学校現場以外でも働く選択肢についても紹介します。
教員免許を取得しており、教員採用試験の受験を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
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教員採用試験の年齢制限状況

教員採用試験の年齢制限は年々引き上げられており、幅広い年齢層の人が教員採用試験を受験できるようになっています。
実際に、教員採用試験の年齢制限は、どのように変化しているのでしょうか。
平成22年度から令和3年度までの採用選考における基本的年齢制限について、表にまとめました。
平成22年度から令和3年度までの採用選考における基本的年齢制限
出典元:文部科学省「令和3年度(令和2年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施方法について」

上記の表は、全国合計68県市の、年齢制限状況です。
まず、35歳以下に制限している県市は平成25年度に0となり、今まで続いています。
36~40歳に制限している県市も、10年間で大幅に減少しました。これは41~50歳へ年齢制限が引き上げられたほか、年齢制限なしに踏み切った県市も多いことが表から読み取れます。
令和3年度では、年齢制限なしの県市は47となっています。全体の70%近くの県市が年齢制限を廃止し、幅広い年齢層の教員採用に向けて動き出しています。

今から教員採用試験の受験を検討している方は、自分の受験する県市の年齢制限状況が気になることでしょう。
ここからは、各都道府県や市の詳しい年齢制限状況を解説します。
令和3年度の公立学校教員採用試験の受験年齢制限について、年齢制限がある県市と、その年齢を表にまとめました。


出典元:文部科学省「令和3年度(令和2年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施方法について」

年齢制限が最も厳しいのが東京都・奈良県の39歳です。
奈良県は40~50歳、51~59歳の希望者は、一定の勤務実績を有する人物のみ受験可能としています。具体的には、以下の条件が必要となります。
40~50歳までの受験希望者は、過去3年(36ヶ月)以上の勤務実績が必要です。51~59歳までの受験希望者は、奈良県公立学校栄養職員として過去に3年(36ヶ月)以上勤務した実績が必要となります。栄養職員としての勤務は、任期に定めのない雇用形態に限ります。

教員採用試験の年齢制限は緩和されている

教員採用試験の年齢制限は、近年、急速に緩和されることを説明してきました。
ここからは、昨年度から年齢制限に変更のあった県市を表にまとめて解説します。



出典元:文部科学省「令和3年度(令和2年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施方法について」

多くの県市で、教員採用試験の年齢制限は緩和されています。
特に鹿児島県は、2022年実施の教員採用試験からは54歳以下と、さらに年齢制限を緩和すると発表。今後も、教員採用試験の年齢制限はなくなっていくと予想されます。

年齢制限緩和の背景にある教員の人員不足

ここまで、教員採用試験の年齢制限が緩和されている現状について解説してきました。
なぜ、全国各地で年齢制限が緩和され、幅広い年齢層の教員を募集しているのでしょうか。
文部科学省が行った実態調査では、2021年の全国公立小中学校、特別支援学級で2,500人以上の教員が不足していることが明らかになりました。
文部科学省実施の実態調査で示された教員不足の状態は、臨時教員などの確保ができずに配置教員数を満たせない状況のことを指します。
教員不足が著しい都道府県は千葉県、福岡県、埼玉県、大阪府などの都市部が多い傾向にあります。調査実施に欠員がなかった都道府県でも、教員数が充分であるとはいえません。
教員の不足状況は、近年、少子高齢化によって労働人口が減少していることが原因の1つです。
それ以外にも、現在の教員の人員不足には以下の3つの理由があります。

  • 退職者数の増加

ここ数年の間に定年退職する教師が増加することから、多くの教員が必要となります。
定年退職する年齢の教員は、次の2つの理由から大量採用されています。

  1. 第2次世界大戦後に採用された教員の退職
  2. 団塊ジュニア世代による子どもの数の増加


第2次世界大戦後のベビーブームにより、「団塊の世代」と呼ばれる人々が誕生しました。急速な子どもの増加により、1940~1950年代に教員が大量採用されました。突然大量採用が行われたことにより、教員年齢のバランスが崩れたともいわれています。
さらに、団塊の世代が親となり、1970年代に第2次ベビーブームが引き起こされます。第2次ベビーブームで増加した子どもへの対応で、この時期にも教員の大量採用が発生しました。
近年、約40年前に採用されたベテラン教員が続々と定年退職を迎えています。これにより、現在の教育現場は人員不足に陥っているのです。

  • 必要教員数の増加

学習指導要領の改訂による、カリキュラム変更も理由の1つです。
小学校の35人学級が導入されるので、文部科学省は、教員数の確保や質の向上が必要であると述べています。
35人学級が導入されると、学級担任が増えます。そのため、少人数指導や専科指導など、担任以外の教員が減少しており、教育現場に混乱をきたしています。校内で突発的な事案が発生した場合に、対応できる教職員が少なくなっているのです。
また、ICT教育などカリキュラム変更により、多くの教員が必要となります。2022年度から教科担任制の本格導入も始まり、必要教員数は増加。
さらに、産休・育休を取得する教員が増えているにもかかわらず、代替教員が確保できていないことも、教員不足の理由となっています。
現場は教員不足に陥っているにもかかわらず、教員採用試験受験者数は年々減少傾向にあります。平成23年度には178,380人だった教員採用試験受験者数は、令和2年度で138,042人。約4万人も減少しているのです。
教員の労働状況改善や、教員として働く魅力を発信して、教員志望者を増やすことが重要です。また、大学教育学部の定員増加など、教員を志望する学生が学べる環境作りも急務とされています。

  • 非常勤講師の需要増加

地方財政難により、教育現場でも非常勤講師の採用が多い現状です。
小中学校、特別支援学校などの義務教育の教員の給与は、3分の2が都道府県が支払っています。残り3分の1が国からの支給です。したがって、地方の財政難は、教員の正規雇用を拒む大きな原因となるのです。
公立小中学校の臨時教員割合が高い都道府県は、沖縄県、三重県、奈良県などの地方が多い傾向にあります。
教員の採用状況や配置計画は、各自治体ごとに異なります。非常勤講師を増員している理由も自治体によりさまざまですが、財政難が大きく関与していることは予想できます。
現在、教員免許を持ちながら、正規雇用ではない非常勤講師は増加しています。
非常勤講師として働くうちに教員採用試験の年齢制限に阻まれ、教員採用試験を受験できない非常勤講師も多い状況です。
近年の教員採用試験の年齢制限緩和により、正規雇用を目指す非常勤講師が、採用試験を受験できるようになりました。

採用試験受験者の年齢によって合格率は変わる?

年齢制限は緩和されましたが、実際の合格率や合格者数はどう変化しているのでしょうか。
採用試験受験者と合格率については、地方自治体によって異なります。
たとえば大阪府では、令和4年度の教員採用試験合格者1,467人のうち、45~59歳までの受験者は35人と少ない状況です。
出典元:大阪府「令和4年度大阪府公立学校教員採用選考テスト 第3次選考 結果表」2021年10月22日

茨城県は、令和2年に教員採用試験の受験年齢の上限を撤廃しました。
令和4年度に受験した45~59歳までの受験者223人のうち、合格者は73人。受験者の3人に1人が合格しています。
出典元:茨城県「令和4年度採用茨城県公立学校教員選考試験の結果について」

茨城県教育委員会のサイトでは、教員をめざす人々のために、PR動画やマンガで茨城県で教員として働く魅力をPRしています。
教員の働き方改革についても言及しているほか、実際に教員として働く人へのインタビューを集めた動画を作成するなど、教員を目指す人に向けた取り組みを行っています。
教員を目指す人への取り組みは、茨城県以外でもさまざまな都道府県で実施されています。
年齢別の合格率を見ると、年齢制限が緩和されても、新規学卒者の採用が多くて合格しにくいのではないか、と考える方も多いかもしれません。
しかし、教育現場では多様なスキルを持つ教員が求められているのは事実です。
学校現場で教員として働きたい人は、教員採用試験にチャレンジしてみる価値があるといえます。

教員以外でも教員免許を活かして働ける

ここまでは、教員免許を活かして、採用試験にチャレンジする方法を紹介してきました。
しかし、教員採用試験を目指す中で、教員免許を活かして学校現場以外でも働けないかと考えている方もいるのではないでしょうか。
また、現在は学校教員として働いているが、教育免許を活かして新しいキャリアに挑戦したい方もいるかもしれません。
実は、教員免許を活かして働くには、教員以外にもさまざまな選択肢があります。
マナリンクが提供している「教員免許活用ガイド」は、本業と副業別でおすすめの職種を紹介している資料です。
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教員免許を活かしてこれから働きたい方、現在学校で教員として働きながら次のキャリアを考えている方は、ぜひ読んでみてください。

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