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【2022年7月更新版】教員免許更新制度が廃止されたら、失効した人はどうなるの?

2022/7/14
【2022年7月更新版】教員免許更新制度が廃止されたら、失効した人はどうなるの?

はじめに


出典元:【都道府県別】教員採用試験の倍率推移一覧【全国で低下傾向】 | 教採ギルド (schoolsict.net)

現在、教員採用試験の倍率は、著しく低下しています。上のグラフから計算すると、平成30年の倍率は4.9、平成31年の倍率は4.2、令和2年の倍率は3.9、令和3年の倍率は3.6となります。なぜ低下しているかというと、単純に採用者が多いためだという理由ももちろん影響していますが、それと同時に受験者数が減っているからという理由も見逃せません。

やはり学校の長時間労働が問題視される中、自分がプライベートを犠牲にしてまで教師として働き続けられるか自信がないという新規学卒者の声をよく聞きます。その結果、優秀な人材が教師を目指しにくくなっているという現状があります。労働環境の改善を急いですすめ、就職先としての魅力を高めることが求められます。

その改善策の一歩として、教員免許更新制度の見直しに注目が集まっています。今回はその制度の概要と問題点をおさらいし、さらに更新期限切れになった場合現状どのような方法をとるべきか、制度が廃止になった場合はどうかについて言及します。ぜひご一読ください。

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教員免許更新制度の概要と問題点


教員免許更新制の導入は、平成21年4月1日からです。一度取得した免許のまま更新されないのでは、その時々で教員に求められる資質能力が保持されているか確信は持てません。定期的に最新の知識技能を講習を通して身に着けることで、教員自身も自信をもって指導ができますし、子どもや保護者も安心して教育を受けることができるというのが、この制度導入の大きな目的です。

決して不適格教員を排除することを目的としたものではありません。むしろ教員が長く仕事を続けられるよう、その助けになるはずの制度でした。

免許を更新するには、夏休みなどの長期休暇などを利用して30時間の講習を受講する必要があり、さらに約3万円の自己負担金の支払いが求められます。しかもそれは、退職するまでに一度だけ受ければいいという講習ではなく、更新した免許状には期限があります。具体的には有効期限は所得資格を得てから10年後の年度末までです。

結果、教師の助けになるどころか、多忙化する教員の負担になるうえ、内容が実践的ではないといった指摘が相次ぐようになりました。

教員免許更新制度は今後どうなる?


先に述べたような指摘を受けて令和4年5月に、改正教育職員免許法が成立し、令和4年7月1日から教員免許更新制は解消されました。
一つ注意しておきたいのが、教員免許更新制度を廃止するからといって、教員の教育を丸投げするのかというと、そうではないということです。文部科学省は来年4月から新たな研修制度を導入し、オンライン研修などでの習得内容を定着させるため、研修後のテスト実施やリポート提出を求める方針です。

また、
教員免許制度の廃止と同時に、教員研修の指針も変更されるようです。
教員に必要な指針としては、「教職に必要な素養」「学習者中心の授業の創造」「子供一人一人の良さや可能性を伸ばす姿勢」従来どおりの3点に加えて、「特別な配慮や支援を必要とする子供への対応」「ICTや情報・教育データの利活用」の2点も追加されました。適切な理由なく研修に参加しなかったりした場合は、職務命令を通じた研修受講や、指導上の措置を講ずることもあり得ると明記されました。

以下、2021年の情報です。
先に述べたような指摘を受けて、早ければ2023年から教員免許更新制度は廃止する方針を、文部科学相である萩田光一氏は8月に表明しています。教員免許更新制について、来年の通常国会で、必要な法改正がなされる予定です。

その前段階として、廃止までに更新期限を迎える教員に対して、負担感を減らすための経過措置をとることが、つい最近、9月28日に発表されました。

廃止までに更新期限を迎える教員は、これまで通り30時間以上の講習を受けることは必修事項です。ただ、来年度からすべての講習から教員が希望するものを受講できるように変わります。

現行の講習内容は、国の教育政策などを学ぶ「必修(6時間)」、学習指導要領の動向などを学ぶ「選択必修(6時間)」自由に選べる「選択(18時間)」に分かれています。来年度からは、この領域がなくなり、すべて選択できるようになるのです。9月28日の朝日新聞によると萩生田氏は、
オンラインやオンデマンドで受講できる講習を増やし、教員が目当ての講習を探しやすくするための検索サイトを独立行政法人教職員支援機構が年度内にも立ち上げるという。萩生田氏は「教師本人のニーズに沿った講習をいつでもどこでも受講できる環境を構築していきたい」と話した。
引用元:教員免許更新の講習、自由に選べるように 廃止までの経過措置 (msn.com)

とあります。これまでは文部科学省が指定した大学などでしか講習を受講することができなかったので、そこまで出向いていくのも時間がかかり、面倒でした。それをオンラインなどを利用して、自宅でも出先でも受講できるようになるのは、大きな一歩です。

一つ注意しておきたいのが、教員免許更新制度を廃止するからといって、教員の教育を丸投げするのかというと、そうではないということです。文部科学省は、更新制廃止後、免許に有効期限を設けない代わりに、各教育委員会で実施している研修を充実、強化させることを目標としています。


現在の更新制度において、更新期限切れの人がとるべき方法とは?

平成21年3月31日以前の免許を持っている人


更新期限が7月1日以降の教員免許は現在も有効な教員免許のため、更新等の手続きは不要です。また更新期限が7月1日以前の教員免許でも、その更新期限当日に教員等で無かった場合は、前制度下で休眠状態でしたので、手続きをせずに教職につくことが出来ます。
まず、現在教員免許が必要でない職についている方は、更新講習を受講せずに修了確認期限を過ぎても、免許状が失効するということはありません。すなわち、教員として勤めていないならば、修了確認期限の2ヵ月前までに修了申請を行わなくても、免許状が失効することはないということです。(2022年7月更新)

以下、2021年の情報です。
まず、現在教員免許が必要でない職についている方は、更新講習を受講せずに修了確認期限を過ぎても、免許状が失効するということはありません。すなわち、教員として勤めていないならば、修了確認期限の2ヵ月前までに修了申請を行わなくても、免許状が失効することはないということです。

また、教員としての経験がなく、これから教員になる予定がない方は、更新講習を受けることができません。
ただし、過去に教員としての勤務経験がある、あるいは教員採用内定者や都道府県教育委員会・私立法人の臨時任用教育リストに名前が載っている人などは、免許状更新講習を受講したのち、お住まいのある都道府県教育委員会に更新の申請ができます。講習は、先に説明した通り、30時間以上です。

選択領域に関しては特に法令上定めはないので、将来の自分のためになるであろう講習を受講して下さい。文部科学省の認定を受けて講習を開設している大学等であれば、どこで受講しても大丈夫です。

更新講習の申し込みをする際は、必ず受講対象者であることの証明が必要となる点に注意してください。過去に教員として勤務の経験がある場合は、以前勤めていた学校の校長、または法人の長に、今後教職員になることが見込まれる方は、雇われる可能性がある教育委員会や法人の庁から、受講対象者の証明をしてもらわなければなりません。

30時間以上の講習を受講した後発行される修了証明書を、住んでいる所の教育委員会に持っていき、「修了確認の申請」を行います。そうすると、「更新講習修了確認証明書」が発行されます。次回の講習の受講期間は、証明書に記載された修了確認期限の2年2ヵ月前~2ヵ月前までとなります。
参考元:旧免許状所持者で、現在、教員免許を必要としない職でお勤めの方(教員としてお勤めでない方):文部科学省 (mext.go.jp)

平成21年4月以降の免許を持っている人


教員免許状、また更新等証明書に記載されている「有効期間の満了の日」が7月1日以降の免許状は、現在も有効ですので、更新等の手続きは不要です。「有効期間の満了の日」が7月1日より前の免許状の場合は、再授与申を行う必要があります。(2022年7月更新)

以下、2021年の情報です。
平成21年4月以降に取得した免許状の場合、有効期限の10年間を過ぎると、失効状態となります。免許状が失効した場合でも、免許状を取得した際に必要となった教職課程の単位まで無効になることはありません。免許状授与のための所要資格さえクリアしていれば、30時間以上の更新講習を受講・修了し、さらに都道府県教育委員会へ学力を証明する書類など免許状授与に必要な書類を添えて免許状の授与を申請することにより、新たな有効期間が明記された免許状を受け取ることが可能です。

更新講習の対象者となるのは、教員以外に、過去に教員として経験がある方、採用内定者、臨時任用教員リスト登録者などです。
すなわち、過去に教員としての経験がなく、また教員になる予定のない方は、免許を持っていても更新講習をうけることができず、免許は失効してしまうということです。

ただし先述した通り、教員免許は更新講習を受講・修了しないと失効にはなりますが、教員を希望するタイミングでお住まいの教育委員会に相談し、更新講習を受け、必要書類をそろえれば、教師として教壇に立てる可能性はあります。

教員免許更新制度が廃止になったら、現時点で更新期限切れの場合はどうなるの?


教員免許を有効化するためには6月30日以前は免許状の種類に応じた更新講習(30時間以上)を受講・修了する必要がありましたが、7月1日以降は、大学などでの単位取得を証明する「教員免許の取得の申請書類等」と基本的な確認書類があれば、原則新たに有効な免許状を取得することができます。
再授与申請手続きに関しては、各都道府県の教育委員会が定めていますので、別途ご確認ください。(2022年7月更新)

以下、2021年の情報です。

文部科学省に問い合わせたところ、次のような答えが返ってきました。

「制度の廃止はまだ決定事項ではないので、現行の制度の通りとなります。平成21年3月31日以前に取得した旧免許状の場合、免許の期限が切れているなら休眠状態にあるので、更新講習を受けて回復する必要があります。それに対して平成21年4月以降に取得した免許状の場合、期限を過ぎているなら失効状態ということになり、更新講習の受講が必須であるのはもちろんのこと、各都道府県の教育委員会の指示に従い、学力証明書など必要な書類をそろえて提出する必要があります。」


教員免許更新制度の廃止が施行されるかどうかは、まだ決定事項ではないというのが、文部科学省の見解です。よって、今まで通り、教壇に立つ予定があるのに免許が休眠状態である、あるいは失効状態である場合、教員免許状更新講習を受ける必要があります。

今後のことはまだ未定なので、現行の決まりに従うしかありません。ただ、教員免許更新制度の廃止に関して、詳細が固まってくれば、当然失効している人は今後どうなるのかという問題についても話し合われることになるでしょう。今後の文部科学省の動きに注視する必要があります。

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まとめ


現在、労働環境の悪さなどを理由に、教師の仕事を敬遠する方が増えています。少しでも労働環境を良くして人気を取り戻すことが求められる今、教員免許更新制度が廃止されました。

更新制度が廃止されることによって、必要な更新が減り負担は減りましたが、新たに研修などが重点的に追加され新たな負担も発生しました。ですが今現在免許が失効していて、今すぐではないけれど将来的に教員になりたい、あるいは教員として復帰したいと考えている方にとっては、30時間の更新講習が無い分、教員として働くハードルは大きく下がりました。(2022年7月更新)

免責事項

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