ICT支援員に将来性はあるのか?働き方、雇用形態まで解説します
文部科学省による「ICT支援員の配置促進に関する調査研究」では、学校のICT活用に関する主な課題として「教員のICT活用指導力の向上」「授業におけるICT活用」が挙げられました。依頼中の業務分野に関しては、授業支援、98%。校内研修支援、88%。環境整備支援、82%。校務支援、73%と業務内容は幅広く、多種多様に求められていることもわかりました。
出典:文部科学省「ICT支援員の配置促進に関する調査研究」
このように国全体としてICT活用に関する課題の大きさと、業務の幅広さが挙げられているのです。現在はICT活用において人手が不足し、課題は多いICT業界ですが、将来的に見たらどうなるのでしょうか。そこでこの記事では、ICT支援員を目指す方に向けて、ICT支援員になる前に知っておきたい将来性や、働き方、雇用形態までご紹介していきます。
ICT支援員に将来性はあるのか?
ICT支援員を目指すものの、将来について不安に思われている方もいらっしゃるでしょう。新しい職種で働く上で、長期的に働くことができるのか見定めることは重要です。そこで今からは、そもそもICT支援員とは何かをご説明してから、ICT支援員の将来性と、平均給与についてもご紹介していきます。
ICT支援員とは
ICT支援員は、ネットワークやソフト活用に関する知識を身につけ、教育活動において問題解決のためのコミュニケーション能力や、スキルが要求される職種です。具体的には、授業前のICT機器の準備。先生や生徒に対するICT機器のサポート。 ICTに関するソフトやアプリの指導操作、などが挙げられます。
ICT支援員に資格は必要なく、年齢制限もありません。ただ、ワード、エクセル、パワーポイントなどのオフィスソフトや、プロジェクターの使用方法など学校で使用するソフトウェアのある程度の知識は必要です。
ICTに関する知識やスキルがなく不安に思われている方は「ICT支援員認定試験」を受けてみても良いでしょう。年2回開催されている、ICTや学校に関する知識や機器トラブルを想定した対応力が問われる試験です。
2019年にはICT支援員として高いスキルを証明できる「ICT支援員上級認定試験」も確立されました。ICT支援員としてキャリアアップを望む方は、資格取得の価値があります。
さらに、ICT支援員の先駆けとも言える「教育情報化コーディネーター」の資格も存在します。教育情報化コーディネーターは、学校の教育情報化をデザインする役割を持っており、資格を取得することで幅広い視野やスキルを獲得できます。
ICT支援員に将来性はある
現在、文部科学省により進められている「GIGAスクール構想」により、全国の教育機関に1人1台の端末、高速ネットワーク整備、ICT技術(情報通信技術)を活用した教育のIT化が急速に進んでいます。また、2020年度からは小学校、2021年度からは中学校でプログラミング教育が必修科目になりました。
さらに、文部科学省は教育機関のICT化を進める上でICT支援員は必要不可欠であるという考えから、2022年までに4校に1人のICT支援員の配置を目指しています。
同じく、文部科学省による「ICT支援員の配置促進に関する調査研究」では、ICT支援員の配置が半分未満にとどまっていました。都道府県、市町村区ともに配置に拡充の余地があることが判明しています。
出典:文部科学省「ICT支援員の配置促進に関する調査研究」
このような教育のICT化への動きを見ると、ICT支援員の需要の高さ、将来への期待度がわかります。そのため、ICT支援員は今の時代に求められる職業であり、将来性があると言えるでしょう。
ICT支援員の平均給与
給与は雇用形態によって異なります。ICT支援員は、フルタイムからパートまでさまざまで、そのため給与も時給制から月収制まで多様です。
地域や勤務形態によっても異なりますが、平均時給は1350円〜1800円。平均月収は20万円〜27万円。平均年収は、300万円〜350万円と言われています。今の段階では、直接雇用やフルタイムで定年まで働く正社員としての採用は少ないため、ボーナスや昇給を当てにしない方が良いでしょう。
ICT支援員の働き方
ICT支援員はどのような働き方をするのでしょうか。各職業には向き不向きがあり、自分の適性を判断しなくては、ストレスの多い仕事環境になってしまいます。そこで今からは、ICT支援員に求められる人間性、やりがい、休みの取れやすさについてご紹介していきます。
ICT支援員に向いてる人
ICT支援員の根幹は、子どもたちが情報活用能力を身に付けられるようサポートをすることです。そのため、ICTに関する知識やスキルに加え、コミュニケーション能力や、ニーズに対応していく能力が必要になります。
さらに、課題解決能力もあると望ましいでしょう。先生の授業のサポートをしながら、常にどのような改善点があるか考え、さらに理解度が高まるICT教育を目指すことが重要だからです。このように人のために動ける人。人と関わりながら、スムーズなコミュニケーションが取れる人。常に臨機応変に改善、対応できる人がICT支援員に向いていると言えます。
ICT支援員のやりがい
ICT支援員の仕事内容は、パソコン指導のインストラクターに似ていますが、ICT知識に関して幅広く改善策を考えながら、教えていくのが特徴です。ICTに興味がない生徒にも教えるため、難易度は高いですが、その分やりがいを感じられます。
現場で困ったいることを察知し、対応し解決することで、先生や生徒から感謝の気持ちを伝えられる場面も多いでしょう。ICT 支援員は、自分の持つスキルを活かしながら、次世代の情報教育への貢献ができる有意義な職種です。
ICT支援員の休みの取れやすさ
ICT支援員は比較的休みが取れやすい職種です。原則土日休みで、雇用形態を選べば平日も生活に合わせて、休みを取ることができます。
後ほどご説明しますが、ICT支援員にはさまざまな雇用形態があります。休み重視の方はシフト制で、アルバイトやパートタイマーとして働くと良いでしょう。ただ、学校だからといって長期休暇取れるわけではありません。学校の先生方は、長期休暇も出勤しているため、基本的に長期的な休みは取りにくいと考え方が良いでしょう。
ICT支援員の雇用について
ICT支援員には先ほどご紹介した通り、さまざまな雇用形態があります。雇用形態によっては兼業可能な働き方もあるので、生活スタイルに合わせて選ぶのが良いでしょう。今からは、ICT支援員の雇用形態、兼業はできるのか、ICT支援員の活動事例などもご紹介していきます。
雇用形態
ICT支援員の雇用形態は大きく2パターン存在します。自治体や学校が直接雇用する場合と、自治体や学校が委託業者として請け負う場合です。働き方は正社員、契約社員。派遣社員、アルバイト、パートまであり、生活に合わせて働き方を選ぶことができます。
勤務形態は、3パターンに分けられます。1つ目は、1校に常駐。2つ目は、複数校を兼任して、週5日フルタイムで働く。3つ目は、シフト制で複数の校舎で働くパターンです。正社員、契約社員、派遣社員を目指す方は、1校に常駐。アルバイト、パートで働きたい方は、シフト制で複数の校舎で働くことが多いです。
兼業はできるのか?
業務委託のICT支援員として働けば、兼業は可能です。業務委託は、派遣社員、契約社員、アルバイト、パートが含まれます。業務委託として働くには、求人サイトからの応募が一般的です。
兼業や副業を検討している方、家庭との両立を目指したい方、フルタイムで働くには体力の自信がない方には、業務委託はおすすめです。さらにICT支援の勤務条件について知りたい方は、「ICT支援員になるには?勤務条件によって応募方法が異なるのはご存知ですか?」の記事をご覧ください。
ICT支援員の活動事例と導入効果
ICT支援員は地域によっても活動事例が異なり、働き方も多種多様です。そこで、ICT支援員として働いた場合どのように教育機関に貢献できるのか、知りたい方も多いでしょう。以下に、各地域のICT支援員の活動事例と効果の具体例をご紹介していきます。
- 校内研修支援(滋賀県草津市)
授業内容:月に2回ほど学校を訪問し、学習支援システムに関する利用方法や校内研修、授業支援を実施。学校からの要望に合わせて、授業提案や機器のメンテナンスにも対応。
導入効果:学習支援システムを用いた学習法や、端末を活用した動画や写真の観察学習手法、データの保存方法を教員が取得。授業で実現。報告会の構築。教育現場の声を把握する大切さを確率。
- 環境整備支援(熊本県宇城市)
授業内容:教育機関に常駐し、要請を受けたら学校を訪問。学校では、サーバーのメンテナンス、ソフトウェアのインストール、ICT機器の不具合に対応。
導入効果:環境整備に対応する教員の作業負荷が大幅に削減。(年間600件の環境整備作業が削減)トラブル対応のような手間のかかる作業をスムーズに相談・解決できるため、業務の効率化に成功。ホームページのデザインが劇的に改善。
- その他の事業支援
動画作成支援(北海道美唄市):授業支援の一環として、動画の教材作成サポートに対応。ICT機器の使用方法を熟知した支援員がいたことで、新しい取り組みが可能となった。
引用:文部科学省「ICT支援員の配置促進に関する調査研究」
まとめ
今回はICT支援員の将来性について、働き方や雇用形態までご紹介してきました。国全体としてICT支援員が不足し、情報教育化が急速に進んでいる現代ではICT支援員の将来性は高いです。ICTの知識やスキルを身につけて、時代に合わせた働き方をすることで、将来への不安もなくなります。
ICT支援員を目指す方は、まずは必要最低限のコンピュータースキルを身につけて、実践力を高めていきましょう。
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