フリースクールの開業方法とは?運営費・収入・生徒や先生の集客方法を解説
フリースクールの開業方法とは?運営費・収入・生徒や先生の集客方法を解説
令和2年度に文部科学省が発表した「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」では、不登校児童・生徒の数が明らかになりました。結果は、以下の通りです。
出典元:文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」
上記のグラフからわかる通り、小・中学校における不登校数は年々上昇しています。特に、新型コロナウイルスの影響を受け、不登校児童・生徒の数は、平成30年以降は急激に増加しました。
不登校問題は、深刻です。学校でのいじめや人間関係の問題だけでなく、家庭内の環境や問題などさまざまな要因が関係しているからです。
この記事をお読みの方の中には、年々増加する不登校児童・生徒問題の解決をすべく、「フリースクールの開業」を考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
学校外の子どもの居場所・学びの場として存在するフリースクール。学校に行かない・行けない、不登校の子どもが増えている現在の日本では、フリースクールは必要不可欠な居場所となっています。
しかし、「フリースクールを開業したいけど、何から始めればいいのかわからない…」「フリースクールが経営難と言われる理由を知りたい」などさまざまな不安や悩みをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
そこで、今回はフリースクールの開業をお考えの方に向けて、フリースクールの開業方法、運営費、フリースクールが経営困難と言われる理由まで解説します。
フリースクールを開業するには?
フリースクールを開業するにあたり、コンセプトやターゲットを決め、個人事業の申請を行うことは大切です。ここからは、フリースクールの開業までの2ステップを解説します。
コンセプトやターゲットの決め方
フリースクール開業にあたり、コンセプトやターゲットを決めるのは重要です。
自分達は不登校をどのようにとらえているのか、どのように子ども達を支えていきたいのか、コンセプトやターゲットをしっかり伝えることで、児童・生徒とのミスマッチをなくせるからです。
また、フリースクールに通う子どもは、小学生26.1%、中学生33.7%、高校生23.3%、高校に在籍しない16〜18歳5.3%、高校・大学に在籍しない19歳以上11.6%の割合で、年齢層の幅が広いのが特徴です。
そのため、コンセプトやターゲットを明確にしないと、学習指導や行事で幅広く対応するために人手不足になったり、運営面で回しにくくなったりするなどさまざまな問題が出てくるでしょう。
参考元:実例からみる フリースクールのつくりかた 設立・運営と新しい学びのカタチ NPO法人フリースクール全国ネットワーク
個人事業の申請のやり方
フリースクールの開業を決めたら、個人事業の申請を行わなくてはいけません。
個人事業の申請は、フリースクール事業を開始して、1ヶ月以内に届出書を税務署に提出すれば完了します。
税務署へ直接書類を届けても、郵送でも手続きはできるので、事業が忙しくなる前になるべく早く行動することをおすすめします。
フリースクールの収入と運営費はどのくらい?
フリースクールの収入は、「フリースクール全国ネットワーク」の調査によると、年収は100万円〜300万円が55%を占めています。その他、収入割合の層は、年収200万円以下33%、年収300万円以下22%でした。
教育業界で見ると、フリースクールの収入は低いです。公立学校教員は非常勤も含め、平均月収は33万7800円と言われています。公立学校教員の平均年収は、約400万円です。
しかし、フリースクールの運営費が決して安く済むわけではありません。フリースクールの運営費は、約10万円です。
月謝制で月30,000円と設定する場合、生徒4人を集めれば運営できますが、そもそも不登校児童・生徒は外に出るのが億劫です。そのため、学習塾の集客とは異なり、4人と言ってもすぐに集客できるわけではありません。
そのため、「フリースクールの収入と運営費のバランスを取るのは難しい」と言えます。
参考元:Yahooニュース 公費格差 負担を強いられる不登校
フルースクールの具体的な集客方法とは?
運営コストがかかり、なかなか良い収入を期待できないフリースクール。フリースクールを運営するには、生徒をしっかり集客し、良い先生を集めることが大切です。ここからは、「生徒の集客方法」と「先生の募集方法」を解説します。
生徒の集客方法
フリースクールの生徒の集客方法は、「Googleマイビジネス、ブログ、地域の掲示板サイトへの掲載、SNS」などが挙げられます。
Googleマイビジネスは、Googleマップにフリースクールを反映させて上位表示できる無料のツールです。登録後も上位表示させるには、定期的に更新を続けることが重要です。
ブログを作成する場合でも、SEO(検索エンジン最適化)対策を行いましょう。生徒集客では、Web上で上位に掲載される記事や求人から読まれるためです。
また、地域の掲示板サイトやSNS広告などに集客費をかけて、Web上で多くの人の目が止まるようにすることも大切です。
先生の募集方法
フリースクールの先生の募集方法も同様に、「ブログ、SNS、地域の掲示板サイト」などが挙げられます。
しかし、求人募集は他のフリースクールとの差別化が難しいもの。また、新しくできたフリースクールは、口コミがなかったり、信用材料がなかったりなどの問題で、先生を集めにくい傾向にあります。
そのため、ポスティングや知り合いに声かけするなどして、オフラインで先生を募集する方法もおすすめです。
フリースクールが経営難と言われる理由
フリースクールは前述したように収入が低く、運営費がかかることから、経営難と言われます。そのため、ほとんどのフリースクールが失敗してしまうのが現実です。
フリースクールの経営を失敗してしまう主な理由や、具体的な収入やスタッフの数はどのくらいでしょうか。現状を把握してから、フリースクールの開業に踏み切りましょう。
フリースクールの経営を失敗してしう主な理由
フリースクールの経営を失敗してしまう主な理由は、国からの公的補助金に頼れない点があります。
フリースクールの具体的な定義が決まっていない日本では、国からの公的補助が降りないのです。公的補助の種類は1万種類以上あるため、事業を展開する上で利用する経営者は多数いますが、フリースクールの事業主は公的補助に頼れません。
運営費をまかなえず、生徒や先生募集のために広告費用もかけられないため、経営全体を上手く回せずフリースクールの経営を失敗してしまいます。
約3割が資格なしでボランティアで働いている
フリースクールでは、約3割が資格なしのボランティアで働いているのをご存知でしょうか。
そもそもフリースクールでは、資格は必要ありませんが、十分に収益を出せないのと、経営を回せない理由からスタッフの3割をボランティアで回しています。
しかし、有給で働くスタッフの半数以上は週5日未満勤務であるのが現状です。そのため、せっかく働いてくれるスタッフ側から見ても、フリースクールだけで生計を立てるのは難しいです。
フリースクールの開業以外にも不登校支援ができる職業
フリースクールの開業は、前述したように難しく、多くの方が経営を失敗してしまいます。しかし、フリースクール以外にも、不登校支援ができる職業はいくつかあるのをご存知でしょうか。
ここからは、不登校支援ができる「スクールカウンセラー」と「オンライン家庭教師」について解説します。
スクールカウンセラー
「スクールカウンセラー」は、不登校支援ができる代表的な職業です。
子どもの臨床心理において高度な専門知識を有するスクールカウンセラーは、不登校児童・生徒のメンタルケアを行います。
カウンセリングやコンサルテーション、アセスメントなどを行い、さまざまな視点から不登校児童・生徒をサポートします。
文部科学省は、増え続ける不登校児童・生徒問題に対処すべく、スクールカウンセラーの配置件数を増やすように全国的に呼びかけている状況です。令和2年度に計画されたスクールカウンセラーの配置件数は、3万件以上に及んでいます。
オンライン家庭教師
オンライン家庭教師も、不登校支援ができる職業です。
そもそも学校に行きたくない・行きづらいと感じている不登校児童・生徒は、学習塾に行くのが苦痛です。そのため、オンライン家庭教師であれば、学習を始めやすい利用メリットがあるでしょう。
実際に、「オンライン家庭教師のマナリンク」では、不登校児童・生徒の学習指導を中心に担当している先生もいらっしゃいます。
不登校児童・生徒の授業を担当できる先生は、39名在籍。不登校の児童・生徒の進路指導をサポートする先生や、基礎からゆっくり学んでいく算数・数学の授業など、さまざまな視点から授業展開をしています。
今回の記事を読んで、「フリースクールの開業は、思っていたよりも資金や経営が大変だった…」と思われた方もいらっしゃるでしょう。「オンライン家庭教師のマナリンクでは、開業と一緒に経験と副業として始められます。オンライン家庭教師の働き方にご興味ある方は、「オンライン家庭教師の働き方ガイド」へお進みください。
まとめ
今回はフリースクールの開業をお考えの方に向けて、フリースクールの開業方法、運営費、フリースクールが経営困難と言われる理由まで解説しました。
フリースクールの開講は、今回ご紹介したように助成金を受けられなかったり、十分な収入を見込めなかったりするなどの問題点があります。
しかし、不登校支援で考えれば、まずは「オンライン家庭教師」でどこでも指導ができる環境で、フリースクール開講のための資金を貯めるのがおすすめです。
全国の不登校児童・生徒と定期的に関わる場を持つことで、見えてくる課題感や視点も変化するでしょう。
免責事項
こちらの情報は執筆段階でのリサーチ・状況において執筆されたものであり、随時内容のメンテナンスを行っておりますが、 現時点での正確性を保証するものではございませんのでご了承いただけますと幸いです。