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コロナ禍で見えた遠隔授業の真のメリットと大学における教育の変革

2021/7/1
コロナ禍で見えた遠隔授業の真のメリットと大学における教育の変革

はじめに

昨年新型コロナウィルスが世界中で流行し、例年とは大きく違う形でキャンパスライフが始まりました。これまで対面形式で行っていた授業は全てオンラインやオンデマンドに移行されて、全国ほとんどの大学、特に都内の大学はキャンパスに入れない状態が続きました。そこで今回はコロナ禍で行われたオンラインやオンデマンドなどの遠隔授業のメリットや大学教育における変革について解説していきたいと思います。

【文部科学省】対面授業へ戻す方針を発表

文部科学省は2020年12月23日に各大学における後期授業が対面によって行われている割合が半数未満の大学187校を公表しました。萩生田文部科学大臣としては、各大学に対して対面授業を行うように促す考えがあったと思われますが、以下を見ると学生はオンライン授業にメリットを感じているという現状が明らかになりました。

『「学生からはオンラインの方がかえって発言しやすいという声がある」』

引用元:コロナ対応の現状、課題、今後の方向性について−文部科学省

実際に対面授業を推進する発表は、新型コロナウィルスの感染状況が落ち着いていた2020年10月以前のものであるので、その面を考慮する必要がありますが、文部科学省は2021年度の大学の授業形態について基本的に対面授業へ方針を発表したのは、これは、通常時にオンライン授業にしてしまうと、学生間や学生と教職員間の交流も学生生活において重要な要素がなくなってしまうため文部科学省はなるべく対面での授業を推進しています。

出典元:大学等における本年度後期等の授業の実施と新型コロナウイルス感染症の 感染防止対策について(周知):文部科学省

【2021年】各大学の対応

例えば、現在早稲田大学や慶應義塾大学は原則対面授業とオンライン授業の併用を行い、語学や少人数のゼミ形式の授業は対面で行っています。一般教養や大人数で行う講義形式の授業はオンラインで行われています。それに準じて明治、中央、立教、法政、青山学院などの都内私立大学もオンライン授業と対面授業のハイブリット方式を採用しています。完全な対面授業に戻るには当分の時間を要するでしょう。

集団に対するオンラインの課題

電波の不具合によって理解度に差が生じる

オンライン授業における課題として、wifi環境などの通信環境によって授業に対する理解の格差が生まれてしまう点が挙げられます。この通信環境を整えるための費用もかかるので経済状況もまた少なからず影響する可能性も考えられます。

モチベーションの低下

オンライン授業は基本的にどこでも場所を選ばずに受講できるため、キャンパスに行くという目的がなくなってしまいます。性格によっては対面授業に向いているタイプもいるので、このような性格の学生は学習におけるモチベーションが低下してしまう可能性があります。また大人数に対するオンライン授業において、受講している学生はカメラやマイクのスイッチをOFFにできるため、授業を聞きながら他のことが出来てしまうので、授業の優先順位が低くなる場合も考えられます。

単位取得のみが目的なってしまう

またオンライン授業における課題として、「本当の理解や学びが出来ているか」ということがあります。授業によっては教授による一方的な講義の授業もあるので、その場合、知識や技術の習得ではなく単位取得目的での受講となってしまう可能性があります。

【一部の大学では授業に変化】オンライン授業がもたらしたICT教育への改革

LMSの導入

LMSとは学習管理システム(Learning Management Sistemの略でeラーニングの実施に必要な学習教材の配信や成績などを統合して管理するシステムのことです。主に受講者と教材の管理や学習進捗の管理の機能を持っており、どの受講者にどの講座を割り当てるか、どの受講者がどれくらい講座を進めているかなどの学習管理を行うことが出来ます。このようなシステムを導入し学習や試験、ライブ授業などで活用しています。また学習者とのコミュニケーションにも活用されています。

WEB会議システムの導入

またzoomやWEBEX、googlemeetsなどのウェブ会議システムも各大学で積極的に導入されています。授業だけでなく、学部生や院生の卒論、修士論文の発表会、ゼミ発表などでも活用されています。早稲田や慶應などでは新型コロナウィルスの感染拡大の前からミーティングなどで活用されています。

反転授業の活用

反転授業とは従来の授業の講義で教員が新しい知識を与え、学生が宿題などで習った知識の定着を測る方法です。これを反転させてオンライン授業や教材などで新しい知識を個別に事前に学習し、学校の対面授業などで演習を行ってわからない部分を教員に質問したり、クラス内で意見交換を行って理解を深めるのが反転授業です。つまりインプットとアウトプットを反転させて行うことになります。メリットとしては自分のペースで繰り返し学習できるということがあげられます。


個別に映像授業などを使いながら新しい知識を習う場合はわかるまで繰り返し視聴することが出来ます。また映像授業を残しておけば復習として利用することが出来ます。また演習問題を解いたり発展的な内容を扱う時間に充てるので、アウトプットする機会が増えて、問題可決能力の育成にもつながります。そして授業の中では学び合いや教え合いやディスカッションの時間が増えるので、いろんな意見に触れることも可能です。仲間と学ぶことによって学習意欲の向上にもつながります。

通信環境の設備

通信環境の整備をしなければオンライン授業も成功しないでしょう。学生の通信環境における支援だけでなく、教員に対する通信環境の支援、学校全体の通信環境の整備ももちろん必要でしょう。これは全体的に考えていく必要があります。

オンライン授業によって進む大学改革の例

名古屋大学医学部

名古屋大学医学部では一足早くオンライン授業に対応できるよう環境を整備していきました。まず大人数で授業は感染のリスクを考えて全てオンライン授業に、実技の授業については出来る限り対面授業で行う工夫をしていきました、例えば、VRを使っての実技の授業などです。

日本体育大学

日本唯一の単科の体育大である日本体育大学では講義形式の授業はオンラインで、実技の授業はリアルタイムオンデマンド授業を採用しています。

早稲田大学

早稲田大学では新型コロナウィルスの感染拡大の前からオンデマンドによる授業を行っており、オンデマンドの授業を増やしたりオンデマンドとオンライン授業を併用して行う授業を行ってきました。

大阪大学

関西の名門大阪大学では対話型オンライン授業として、講義動画を視聴し、講義動画の内容を次の週までに非対話型同期授業としてチャットなどでグループワークをするなどの授業スタイルを採用しました。

授業変革の課題

導入には学校全体での取り組みが必要

これまでの一方的な講義スタイルの授業を変えていくには学校全体での体制を変えていく必要があります。またオンライン授業に対する環境構築や新しい学習スタイルの発案など根本的に変えていくことも検討しましょう。

費用がかかる

通信環境の整備や機材の整備などは非常に経費がかかってしまう、これは学生だけでなく教員(非常勤も含む)においても同じです。学生においての援助はこれまでにされてきたが教員に対する援助はどうでしょうか。今後は教員に対する援助も考えていかなければなりません。

シラバスから変える必要がある

これまでのシラバスは講義形式を軸とした前提で書かれていたので、オンライン授業や新たな学習スタイルにも対応するものに変えていかなければなりません。

オンライン授業の特徴を最大限活かせる授業形態とは

オンライン授業の特徴を活かせる授業形態はやはりオンライン授業とオンデマンドを併用して行う非同期対話型授業です。常に意見を言えるプラットフォームを構築しておく必要があります。

まとめ

今回は大学におけるオンライン授業に対する意義について述べてきました。大人数に対する遠隔授業において、効果的に進めるには環境の整備や新たな教育方法の導入が必要でしょう。それには学校全体での取り組みとかなりの時間と費用を要します。そのため導入できる大学とそうではない大学とわかれてしまい、教育の格差が生まれてしまう可能性があります。今後は授業目的に合わせて対面と遠隔、さらに遠隔の中で各授業目的に合わせた授業形態の選択が必要で、メリットとデメリットがある中で、常にアンテナを張り巡らせて変化に対応することが求められていくでしょう。


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