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【先生向け】教育の情報化でなにが変わっているのか?

2021年3月31日
【先生向け】教育の情報化でなにが変わっているのか?

なぜ情報化が求められているのか


近年、教育の情報化が話題になっています。しかしなぜ情報化が求められているのか?という質問に答えられない人もいると思います。そもそもこれまでの教育現場では板書の代わりにプロジェクターを使った授業や動画資料を授業に使用するといったことが行われてきました。

それらと比べて何が違うのかについてまとめました。この記事がこれからの教育がどのように変化していくのかを知る足がかりになればと思います。

私たちがいる社会は高度情報化社会と呼ばれ、生活のあらゆる場面でICT(Information and Communication Technology(情報通信技術))を活用することが当たり前の世の中になってきています。 日常的にスマートフォンを介してインターネットにつながり、多くのヒトとモノとつながって生活をしています。

2020年からはコロナ禍の影響もあってより多くの場面で多くの人々がインターネットと身近になったのではないでしょうか。文部科学省が出した「教育の情報化に関する手引き(令和元年12月)」では以下のように書かれています。

”AIやビッグデータ、IoT(Internet of Things)、ロボティクス等の先端技術が高度化してあらゆる産業や社会生活に取り入れられ社会の在り方そのものが劇的に変わる「Society5.0」時代の到来が予想されている。”
引用 文部科学省 教育の情報化に関する手引 第1章~第3章 (令和元年12月)冒頭より


このような時代を生き、次の世代を担う子供たちには、ICTを活用した「公正に個別最適化された学び」や学校における働き方改革の実現が不可欠です。
情報化し続ける社会を生きるために必要な知識をつける。そのための仕組みや制度を整えていこうというのが教育の情報化の概要です。

このような背景から教育の情報化が求められているのです。

参考資料:「教育の情報化に関する手引(令和元年12月)」

社会が抱えている課題


では実際に何が問題となっているのでしょうか。まず国レベルでの話をしますが、

日本は教育現場でのICT活用が非常に遅れている国です。

ICTは各家庭の経済的な要因やご家族の情報リテラシーによって子供が得られる機会や知識に偏りが生じてしまいます。
例えば、複数台のPCがあるご家庭とスマートフォンしかないご家庭では情報活用能力に差が出るのは想像がつくと思います。もっとわかりやすいのが、自宅に光回線があるのと自宅にwifiがないのでは情報へのアクセスする頻度やインターネットから得られるの恩恵に差が生じます。

”情報活用能力は学習の基盤となる資質・能力であり、各教科等の特質を生かし教科等横断的な視点から育成するものである。”
引用 文部科学省 教育の情報化に関する手引 第4章~第8章 (令和元年12月)

求められる人物像

”(1) 各学校においては,児童の発達の段階を考慮し,言語能力,情報活用能力(情報モラ ルを含む。),問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力を育成していくこと ができるよう,各教科等の特質を生かし,教科等横断的な視点から教育課程の編成を図る ものとする。”
引用:平成 29・30 年に公示された学習指導要領

とあります。求められている人物像は

・情報や情報手段を主体的に選択し活用する
・情報技術の基本的な操作
・プログラミング的思考や情報モラル等

を含む資質・能力を持つような人物です。情報化していく社会で必要最低限、情報技術についての知識とふるまいについて学習していくことが求められているということです。

ICT教育の海外事例


海外ではどのような教育が行われているのでしょうか。

アメリカ

州によっては公立中・高校で全生徒に一台ずつノートPCを配布しています。生徒はGoogleアカウントを作成し文章を書いたりプレゼンテーションをするために活用しています。

イギリス

Computingの授業でプログラミングを学びます。アルゴリズムの理解やプログラミング言語を学ぶというコンピューターサイエンス色が強い授業内容となっています。

オーストラリア

ICTが科目横断的に採用され、出身国が異なる生徒が集まるため、コミュニケーションを通して異なる文化、生活習慣、宗教などを互いに尊重し合う精神を養うことが重要視されています。

シンガポール

ICTが国内全体で進んでおり、役所での手続きは徹底的にデジタル化されています。教育ではタブレット端末を使った授業が展開され、教育省が開発・提供する校務情報システム( School Cockpit System )は初等・中等学校において教員の事務負担の軽減や児童生徒の指導改善に使われています。

エストニア

電子国家として有名になったエストニアではEエデュケーションと呼ばれるプラットフォームで、生徒、教師、親がオンラインでつながることができます。学習進捗の確認や宿題・授業内容の確認はもちろんのこと教師は学区の統計レポートにアクセスし分析することもできます。また、ほとんどの学校にWi-Fiが完備され上記のプラットフォームを活用することができます

参考資料:教育分野における先進的な ICT 利活用方策に関する調査研究 報告書 

ICTを教育分野に活用する意義


ICTを教育分野で活用する意義は総務省によって大きく3つのAに整理されています。


学びを活性化する、Active
1人1台、いつでもどこでもつながる情報端末を持つことで主体的に調べ物をしたり学習することが期待できます

学びを最適化する、Adaptive
1人1人のデータをもとに習熟度を分析・可視化することで最適な課題を出すことができます

学びを支援する、Assistive
地理的制約矢心身の障がい、貧困などこれまでハンデとされてきたことが無くなり、子供たちの学びの選択肢が大きく増えます
の3つです。(一部総務省 教育ICTガイドブックから抜粋)

参考資料:総務省 教育ICTガイドブック

日本での具体的な事例


大阪府豊中市立小学校、中学校の事例


大阪府の豊中市では庄内さくら学園中学校で、全生徒にタブレット端末(iPad)を配備し授業支援ソフトや学習ドリルソフトを活用しています。
豊中市立小・中学校におけるICTを活用した「学び」の基本方針

N高とS高の事例


学校法人角川ドワンゴ学園が運営しているN高・S高では様々なICTツールを使って学校を運営しています。
例えば、コミュニケーションツールであるSlackを活用しオンラインでも学校空間を作れるように友人やクラスメイトと雑談をしたり勉強や部活の話をしています。同じクラスには比較的近距離のクラスメイトが集まるように設計されています。
ICTツールの活用 | N高等学校・S高等学校(通信制高校 広域・単位制)

【まとめ】先生は何をしていけばいいのか


ここまで教育の情報化について学んできました。では指導する側の先生はどうしていけばいいのでしょうか?

まずは身近なところから時代に合った指導方法を模索していくのがいいでしょう。
例えば、板書の時間があまりにも長い授業をしていませんか?これまでの教育現場では教師が黒板に板書をするのは当たり前でした。

ここ十年でプロジェクターを活用したりすることで板書の負担を減らす工夫をしていた先生は多くいらっしゃいます。授業中のアナログな作業をなるべくなくし、生徒の理解度を図りながら授業を進めれるようにしましょう。

重要なのは黒板と向き合うことではなく、生徒たちと向き合うことです。

また、ICT教育をするのですから自分自身がICTについて詳しくなることが必要でしょう。

N高等で使われている、ICTツールを実際に自分が触って使ってみることは非常に重要です。

世界史の知識を知らなければ世界史を教えることができないようにICTについて知らなければ教えることもできません。自前のPCも持っていない先生がPCを使って生徒とコミュニケーションを取ろうというのもいささか無謀だと思います。

まずは先生が自分で使ってみる、体験してみるということが大切です。