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不登校児童生徒へのカウンセラーとは?不登校カウンセリングの課題や効果まで解説
文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」では、70.4%(127,679人)の児童生徒が学校内外で相談・指導を受けたと回答しました。反対に、相談・指導を受けてないと答えた不登校児童生徒は29.6%(53,593人)でした。
出典:文部科学省ー「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」
また、不登校生徒児童は年々増えています。令和元年の小・中学校の不登校児童生徒は181,722人。1,000人当たりの不登校児童生徒数で見ると、18,8人で平成10年以降過去最多です。このように、不登校生徒児童の問題は深刻化しています。そして、大半の不登校の子ども達が相談・指導を必要としているのです。
この記事をご覧の方の中には、深刻化する不登校児童生徒を支援したいと、不登校カウンセラーを目指されている方もいらっしゃるでしょう。そこで今回は、不登校のカウンセラーについての対応や課題、不登校カウンセリングの効果までご説明していきます。
不登校生徒のカウンセラーとは?
生徒が不登校になる理由はさまざまです。そのため、周囲の人が理解を示し、不登校になった理由を把握して、寄り添う姿勢が大切と言えます。しかし、人間関係に敏感な不登校生徒のケアは素人には難しいこともあるでしょう。ここからは、不登校生徒のサポートができる「スクールカウンセラー」についてご紹介していきます。
スクールカウンセラーの不登校生徒への対応
スクールカウンセラーの不登校生徒への対応は、不登校の原因から現在の生活状況、子どもが考えていること、さらに今後どうしていきたいかについてヒアリングします。スクールカウンセラーが子どもの心のケアを第一に考えている職業のため、丁寧に段階を踏んでカウンセリングしていきます。
ヒアリング後は、相談内容を保護者や学校と共有し、今後の不登校解消法について相談します。スクールカウンセラーの不登校生への対応として重要なのは、具体的に子ども自身に決断させることです。子ども自身の自主的な決断が、学校に行こうという心理を生み出すからです。
スクールカウンセラーの課題
文部科学省によるスクールカウンセラーの配置拡大により、スクールカウンセラーの資質や経験に違いが見られたり、学校における活用の仕方に違いが見られるなどの課題が出てきています。
2020年時点でスクールカウンセラーは全校立小学校・中学校へ2万7,500校の設置(2014年度、2万2,013校)。特に、いじめ・不登校対策のための重点配置を500校にすることが、文部科学省で決まりました。
このようなスクールカウンセラーの拡大を受けて、学校では以下のような課題が出ています。
- スクールカウンセラーの活用の仕方は、教員や校内組織のあり方、校長をはじめとした教職員の意識の差により、都道府県等によって大きな違いがある。例えば、教職員とスクールカウンセラーの連携不足。組織的な活用が十分にできていないケース。スクールカウンセラーの活用のビジョンや方針が明確にないケースがある。
- スクールカウンセラーの拡大に伴い、資質や経験の差が出る。都市部以外では、スクールカウンセラーの人材不足が懸念されている。
- スクールカウンセラーは非常勤で、不安定な身分。また、スクールカウンセラーの1校当たりの勤務時間数が週4〜8時間程に限定されている。そのため、児童生徒の問題に柔軟に対応しにくい。
このような課題を受けて、学校における配置・活用法や、相談時間数の増加等を検討することが求められています。また、スクールカウンセラーを監督する者の配置や、地域の状況に応じた多様な人材の活用等についても考慮が必要な状況です。
出典:首相官邸ー「不登校等の子供への教育について」
文部科学省初等中等教育局ー「2019年度 概算要求事項」
文部科学省ー「スクールカウンセラーについて」
不登校カウンセリングの効果
不登校カウンセリングの効果は、子どもによってそれぞれです。カウンセリングの目的は、子どもが抱えている悩みや不安を軽くすることです。しかし、全員が自分自身を打ち明けてくれて、カウンセラーがヒアリングできるというわけではないからです。
このようなカウンセリングの効果の違いの原因は、不登校生徒の保護者にある場合があります。保護者が根本的に子どもの不登校を促している場合、カウンセラーひとりでは対応しきれないでしょう。その時は、学校やスクールカウンセラーの専門機関などに協力を求める必要があります。
不登校カウンセリングの効果を発揮させるためには、保護者との面談を入れることも考慮すると良いでしょう。不登校生がどのような環境で育ったのか理解を深めることで、カウンセリングの効果を発揮できます。
不登校支援に活用できるカウンセリング方法
不登校児童生徒にカウンセリングを行っても、100%の効果は期待できません。そこで、さまざまなカウンセリング知識を身につけて、一人ひとりに合ったカウンセリングを実践することが大切です。ここからは、不登校支援に活用できるカウンセリング 方法についてご紹介します。
180°転換の習慣化
180°転換の習慣化は、不登校児童生徒の保護者の考え方を180°変えるカウンセリング です。保護者の考え方は、子どもに大きく影響します。保護者の考え方を変えることで、子どもの思考の変化を促していくのです。
例えば、保護者が「どうしてうちの子は学校に行かないのだろう?」と思っているとします。この思考を180°変えてみましょう。そうすると「どうしてうちの子は『学校に行っていた』のだろう?」になります。
このように頭の中の思考を180°変えてみるだけで、違った視点からの理由を考えることができます。保護者の考え方や受け取り方が変わると「子どもが本当に求めていること」を理解できるようになり、接し方が変わるでしょう。
接し方の変化を感じた子どもは、自分も保護者や学校の先生への対応を変えてみようと心が改まるのです。180°転換の習慣化は、毎日3ヶ月続けると効果が出ると言われています。
自分目線から抜け出す
自分目線から抜け出すカウンセリングも保護者向けです。具体的には、保護者が自分目線から子どもの様子を眺めることをやめてもらいます。
私たちは通常、自分目線で物事を考えます。不登校の子どもを持つ保護者場合の例を見てみましょう。例えば「今日はうちの子元気ないな」と感じたとします。しかし、それは保護者の主観でしかありません。
この判断のまま接すれば「今日は元気ないね、どうしたの?」という短絡的な発言をしてしまうでしょう。短絡的な発言をしてしまえば、子どもは「親は何もわかっていない」と感じてしまうのは間違いありません。
短絡的な言動を改善するために、親の目線を離れ、子どもの目線で物事を捉えることが大切です。もしかしたら、親の言動に反応したのが子どもの「元気がなさそう」な表情であって、原因は自分にあるかもしれないと発見があるかもしれないのです。
自分目線から抜け出すことで、気づきのヒントを得られ、新たな親子関係を作れるでしょう。
参考記事:不登校カウンセリング以上に効果的な方法
不登校支援ができる職種は?
不登校支援ができる職種はどのようなものがあるでしょうか。不登校支援と言っても多種多様で、支援の形態が職種によって異なります。ここからは、不登校支援ができる代表的な職種を、仕事内容と共にご紹介していきます。
不登校訪問支援カウンセラー
不登校訪問支援員は、不登校になっている本人と保護者の相談相手となり、将来のためにサポートする職種です。一般財団法人引きこもり支援相談士協議会が認定する「不登校訪問支援カウンセラー資格」を取得することで、支援員になれます。
不登校訪問支援員になれば、訪問カウンセラーとして自宅でカウンセリングルームを立ち上げることができます。支援員になることで、一人ひとりに寄り添ったサポートができるようになるのです。
不登校専門家庭教師
不登校の子ども達の学習の遅れを取り戻すために、不登校専門の家庭教師が存在します。進級・進学が厳しい状況や、週2〜3日学校に行けない子ども達の学習面のサポートを行うのが仕事内容です。
しかし、不登校児童生徒の大半は人間関係で悩んでいる子が多く、家庭教師との新たな人間関係構築が難しい子もいるでしょう。そのため、不登校専門家庭教師として働く際は、生徒と適切な距離感を保つことが重要です。
ひきこもり支援相談士
ひきこもり支援相談士は、ひきこもりの当事者や家族のサポートを行います。相談士になるには「一般財団法人ひきこもり支援相談士認定協議会」が認定している資格の取得が必須です。
ひきこもり相談士は、さまざまな場所で働くことができます。ひきこもり地域支援センター、子ども若者育成支援協議会、ひきこもり問題対応ネットワークの全国引きこもりKHJ親の会支部、各都道府県における自治体など、働く場所はさまざまです。
今回ご紹介した職種以外に、不登校支援に携われる職業はいくつかあります。以下の記事では、さらに詳しく不登校支援の職種や資格を解説しているので、ご興味ある方はぜひご覧ください。
不登校支援ができる職業とは?不登校支援に活かせる資格も解説
まとめ
今回は、不登校のカウンセラーについての対応や課題、不登校カウンセリングの効果までご紹介しました。不登校児童生徒問題は、年々深刻化しています。そして、カウンセラーなしではますます大問題になってしまう状況と言えます。
そのため、不登校支援のカウンセラーを考えている方は、現場の状況や課題をよく理解することが大切です。カウンセリングに必要な知識やスキルを身につけて、一人ひとりに合ったサポートができるように努めましょう。
免責事項
こちらの情報は執筆段階でのリサーチ・状況において執筆されたものであり、随時内容のメンテナンスを行っておりますが、 現時点での正確性を保証するものではございませんのでご了承いただけますと幸いです。