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従来の日本語教師と公認日本語教師の違いとは? 【これから公認日本語教師を目指す方へ】

2021/9/8
従来の日本語教師と公認日本語教師の違いとは?  【これから公認日本語教師を目指す方へ】

はじめに

日本語教師の国家資格である公認日本語教師は、従来の日本語教師とどう違うのでしょうか。日本語教師の現状を踏まえたうえで、現在の日本語教師のなり方、公認日本語教師のなり方についてご紹介します。後半には、コロナ禍において、公認日本語教師を目指している方に対して、今できることも提案しています。ぜひ、参考になさってください。

日本語教師の現状


出典元:令和2年度日本語教育実態調査報告書ー文化庁国語課

令和2年は新型コロナウィルスの影響で減少したものの、このグラフから、日本語学習者の数は年々増え続けていることがわかります。平成2年は、60,601人だったので、それから考えると、かなり増加したことがみてとれます。それに対して、日本語教師の数はあまり変わらず、不足しているのが現状です。具体的にどのようなことが国内外でおきているのか、ご説明します。

近年、日本での進学や就職を希望している外国人が増加しています。それに伴って、日本語教師の需要も高まっています。日本語教師としての勤務先で一番多いのが、日本語学校です。日本語学校で学ぶ留学生の数は、年々着実に増えてきています。学習者の内訳としては、中国が一番、そのあとアジアの国々が続きます。

次に多いのが、技術実習生への日本語教育です。日本は少子高齢化の影響から、若い働き手が減少しているのが事実です。そこで、技術を教えるかわりに、日本で働いてもらい、労働力を確保するというわけです。

海外でも、日本語学習者は増加傾向にあります。特に中国で増加しており、「2018年度日本語教育機関調査」によると、日本語学習者が初めて100万人を超えたということです。

やはりアジアの学習者が圧倒的に多いですが、アメリカなどでも日本語学習者は増えてきています。アニメなど日本の文化に興味を持ち、大学で第2言語として勉強する学習者に向けて、あるいは現地の日本人学校に通う日本人に向けて指導するパターンがあります。

これだけ学習者が増えてくると、特に国内において日本語教師不足が問題になります。学習者の増加に対して、日本語教師の数は、4万人前後で推移しています。

日本語教師は、「時間外労働が多い」「賃金が安い」などのマイナスイメージが強く、需要に対して追いついていないのが現状です。課題は単純に日本語教師の数だけではありません。質についても、問題視されています。

日本語教師は現在国家資格ではないため、教師の質もばらばらで統一されていません。それらを改善するため、現在、日本語教師を国家資格とする動きがあります。それが、公認日本語教師です。

従来の日本語教師と公認日本語教師の違い

違い

日本語教師とは、日本語を母語としない外国人や語学留学生に、日本語の読み書きや発音などを教える教員のことです。

引用元:日本語教師になるには?仕事内容や働く魅力・目指す方法まで詳しく解説|コラム|日本語教師養成|資格取得なら生涯学習のユーキャン (u-can.co.jp)


話し方や文法のみならず、マナーや文化、日本独特の価値観、習慣を教えるのも仕事です。勤務先には、日本国内の日本語学校、海外の日本語学校、企業や工場で働く労働者に向けた研修の他、地域の外国人にボランティアで日本語を教える活動をしている団体などがあります。

現在、日本語教師として教える際、教員免許は必要ありません。日本語を学習したいという人がいれば、日本語教師として日本語を教えることが可能です。そうして、ボランティアとして日本語教師をしている人が多数います。

ただし、日本国内で法務省が告示する日本語学校の教員になるためには、あとで詳しく説明する次の条件、「日本語教育能力検定試験」「日本語教師養成講座」「大学での日本語教育専攻」のいずれかのルートを辿る必要があります。

実際の現場では、告示校で働く場合でも非常勤講師であることが多く、さらに授業準備にかかる時間などを考慮に入れると給料も十分ではありません。その劣悪な労働条件を国家資格化することで少しでも改善しようと生まれたのが、公認日本語教師です。

これは、医者や看護師のようにその資格を持っている人だけがその仕事をできる業務独占資格ではなく、栄養士のように資格を持っている人だけが名乗れる名称独占資格です。

よって、公認日本語教師の資格を持っていない人でも、これまで通り日本語教師と名乗り働けますが、当然公認日本語教師としては働けないということです。両者の大きな違いは、国家資格か否かです。

介護系で、ホームヘルパー等が介護福祉士など国家資格になったことで、劇的な変化は見られなかったように、急に労働条件が改善されることはないにしろ、注目されることで少しは良い方向へ傾くことが期待されます。

現在日本語教師になるには

方向性
日本国内で、法務省が告示する日本語学校の教員になるためには、次の3つのうち、いずれかを満たしている必要があります。

「日本語教育能力検定試験」に合格する

「日本語教育能力検定試験」とは、公益財団法人日本国際教育支援協会が毎年10月に実施している、日本語そのものや日本語教育に関する知識をどれだけ保持しているかを確認する試験です。年齢や学歴による制限はなく、出願すれば誰でも受験できます。もちろん、高卒であっても受験可能です。合格率は、毎年3割弱といったところです。

受験できる地域は、札幌、仙台、東京、愛知、大阪、広島、福岡の7ヵ所で、受験料は1万8千円です。出題範囲は、「社会・文化・地域」「言語と社会」「言語と心理」「言語と教育」「言語一般」の5つの区分に分けられます。

仕事や家事、育児に忙しい方にとっては、一番の近道が日本語教育能力検定試験に合格することです。しかしながら、日本語教師が公認日本語教師になった際、日本語教育能力検定試験に合格しただけでは、今のところ免除される項目はありません。新たに新試験を受け、教育実習を履修、修了する必要があります。

420時間の「日本語教師養成講座」を修了する

すでに大学を卒業している人は、文化庁が認定する420時間の「日本語教師養成講座」を受講することで、日本語教師として必要な知識を得られます。区分は、日本語教育能力検定試験と同じ5区分で、受講費用は52~56万円程度です。受講期間は半年~1年が一般的です。最近では、オンラインで受講できる場合もあり、受講生の幅が広がりつつあります。

大学・大学院で「日本語教育主専攻(または副専攻)」を修了する

大学・大学院で「日本語教育に関する主専攻(または副専攻)プログラム」を修了すれば、日本語教師として必要な日本語そのものや、日本語教育に関する知識などを修得できます。大卒以上の学歴があれば、就職先の選択肢が広がります。さらに、語学から一般教養まで、さまざまな分野を学べる点がメリットです。

参考元:日本語教師になるには?仕事内容や働く魅力・目指す方法まで詳しく解説|コラム|日本語教師養成|資格取得なら生涯学習のユーキャン (u-can.co.jp)


公認日本語教師の資格を取得するには

勉強
公認日本語教師の資格を取得するには、検定試験に合格すること、教育実習を履修することが求められます。詳細について、以下に詳しくご説明します。

試験に合格する

筆記試験は、大きく①と②に分けられます。①は日本語教育の実践につながる基礎的な知識を測定する試験、②は現場対応能力につながる基礎的な問題解決能力を測定する試験です。「受験にあたっては、年齢・国籍・母語を要件とはしない」とあります。また、出題の範囲や内容は、現行の「日本語教育能力検定試験」に近いものになると推測されています。しかしながら、まだ具体的に試験の内容などについては決まっておらず、今後の動きに注目が必要です。

教育実習の履修

資格を取得するにあたって、日本語教師に求められる資質・能力のうち、技能・態度に含まれる実践力を身に着けるため、教育実習を履修することが求められます。

この教育実習は、指定日本語教師養成機関において実施されます。教育実習の内容として、原則対面で(1)オリエンテーション(2)授業見学(3)授業準備(4)模擬授業(5)教壇実習(6)教育実習全体の振り返り を学習することが必須とされています。その詳細については、検討中です。

学士以上の学位→不要に

これまでは、日本語教師には幅広い教養と問題解決能力が必要であるため、資格取得には学士以上の学位が必要条件であるとされていました。しかしながら日本語学習者がさらに増加し、例えば保育士や福祉従事者などが公認日本語教師の資格を取得して働くことも想定されます。

その際、日本語教師に求められる幅広い教養や問題解決能力は、必ずしも大学や大学院のみで培われるものではないことから、「学士以上の学位」は資格取得要件から外されることとなりました。

これら以外に、公認日本語教師の有効期間は10年とされていたのが、2021年7月の有識者会議で「有効期限は設けない(更新は不要)」との見解が示されました。現役の日本語教師の方は、④「日本語教師 国家資格」を参考に、変更点についてご確認ください。

今できること

今後
現在、新型コロナウィルスの影響により、留学生は足止め状態が続いています。その他、労働者にも影響が出ています。それに伴い、日本語学校は大きな打撃を受けています。しかしながら日本語教師の人数は、コロナの前不足状態が続いていたことを考慮に入れると、今後も売り手市場であることには変わりないでしょう。

文部科学省が指定する日本語教師養成機関における課程等を履修し修了した人は、筆記試験の一部と教育実習が免除になるので、勉強を進めておくことをおすすめします。さらに、日本語教育業界において、今後は対面授業のみならずオンライン授業の導入が加速することが予想されるので、オンラインに対応できるスキルを身に着けておくことも必要です。

まとめ

日本語学習者は、年々増加しています。それに対して、日本語教師の数は圧倒的に少なく、質にもばらつきがあるのが現状です。国は少しでも労働条件を良くし、数と質を確保するため、日本語教師を国家資格とした公認日本語教師の導入を、現在検討しています。今回は、公認日本語教師になるには、どうしたらよいかご紹介しました。

今は日本語講師業界もコロナの影響を受けていますが、今後も売り手市場であることは変わりありません。勉強を進めておくとともに、オンライン授業に対応できるスキルを磨いておくこともおすすめします。
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