【児童相談所で働くには】正規職員からパートまでの仕事内容や採用までの流れを解説
児童相談所で働くには
児童相談所で働くためには、児童心理に精通した専門知識を備えカウンセリングやケースワークを行う児童心理司(心理判定員)か児童福祉司(総称:児童相談所相談員)のいずれかになる必要があります。公務員であるため地方公務員試験に合格しなければならず、施設によってはパートでの採用もあります。
専門的な職種であるため児童相談所相談員になるためには大卒以上という条件があり、児童心理司は精神保険の経験のある医師もしくは大学で心理学を専攻していた人、児童福祉司は福祉系の専門学校や大学で心理学や社会学、教育学を修了していなければなりません。
就業後は児童心理司と児童福祉司が連携し、支援者を支える業務を行います。
※社会福祉主事の場合は既に公務員のため、公務員試験を通過する必要はありません。
参考元:児童相談所相談員/O-NET
また、児童相談所では児童心理司や児童福祉司以外にもさまざまなポジションがあり、中には大卒でなくても就けるものもあります。
もちろん、ポジションや所持している資格によってできる業務も変わってくるため、どうしてもやりたい仕事がある場合は事前にどのポジションだったらやりたい業務ができるのか調べる必要がありますが、どんなポジションでもよい場合は嘱託やパート・アルバイトの採用も行われているので目についた募集に応募するのも手です。
児童相談所に配置される職種
児童相談所に配置される職員一覧
- 所長
- 次長
- スーパーバイザー
- 児童福祉司
- 児童心理司
- 受付相談員
- 電話相談員
- 心理療法担当職員
- 保健師
- 精神科医師
- 小児科医師
- 理学療法士
- 臨床検査技師
- その他
さまざまなポジションの人が連携しながら動いていくことが重要となります。児童福祉司と児童心理司の割合が多く、対して理学療法士や臨床心理士は業務が限定されているため常駐しておらず、職員数は少ないです。
特に資格の要件がない職は嘱託や契約社員、パート・アルバイトの募集がある場合も少なくないです。児童福祉司として5年以上経験を積むと主任児童福祉司に、更にステップアップしてスーパーバイザーとして他の児童福祉司の指導や教育を行うようになります。
児童相談所で働くために必要な資格や学歴
児童相談所で働くには、主に①児童福祉司②児童心理司③嘱託・パートの職員に分けられます。
それぞれの要件についてご紹介します。
①児童福祉司②児童心理司については、公務員試験合格後児童相談所に配属されたのちに「児童福祉司」「児童心理司」としてそれぞれ分かれます。
①児童福祉司
- 資格試験はない(社会福祉士か精神保健福祉士資格、2年以上の実務経験があるとよい) ※児童福祉司の任用資格+地方公務委員試験に合格する必要がある
- 任用資格
- 児童福祉の職員を養成する学校を卒業、厚生労働省の指定する講習会を修了
- 心理学、社会学、教育学を大学で修了したのち、厚生労働省の定める施設で1年以上の実務経験を積む など
参考元:児童福祉司になるには/Benesse
児童福祉司の任用資格要件について/高知県
②児童心理司
- 資格試験はない ※児童福祉司の任用資格は必要
- 上級(Ⅰ種)地方公務員採用試験に合格必須
- 任用資格要件
- 心理学、社会学、教育学を大学で修了したのち、厚生労働省の定める施設で1年以上の実務経験を積む
- 大学を卒業後、養成機関を卒業する など
- 臨床心理士の資格があると有利
参考元:児童心理司になるには【任用資格】/心理資格ナビ
③嘱託・パート
- 学歴不問であることが多い
- 電話相談員・受付相談員・生活指導員(保護した子どもの世話をする)など
応募から採用までの流れを解説
①児童心理司・児童福祉司
それぞれの任用資格を満たし、公務員試験に合格することで採用されます。公務員試験合格後は児童相談所にそれぞれのポジションで配属され、業務がスタートします。
②嘱託・パート・アルバイト
求人サイトに求人が出ていることが多いです。行政で管轄しているので児童相談所の名前で求人が出ていないこともあるため、もし働きたい場合は自治体の児童相談所に募集がないか問い合わせるとよいでしょう。
児童相談所職員の仕事内容
児童相談所では仕事内容に合わせてそれぞれ専門の職員が業務にあたるため、さまざまな役割に分かれています。児童福祉司と児童心理司がメインとなる動きますが、業務における違いとは何でしょうか?
①児童福祉司
(1) 子ども、保護者等から子どもの福祉に関する相談に応じること
(2) 必要な調査、社会診断※を行うこと
※調査により、子どもや保護者等の置かれている環境、問題と環境の関連、社会資源の活用の可能性等を明らかにし、どのような援助が必要であるかを判断するために行う診断
(3) 子ども、保護者、関係者等に必要な支援・指導を行うこと
(4) 子ども、保護者等の関係調整(家族療法など)を行うこと
引用元:1.児童福祉司の概要等について/厚生労働省
児童福祉司はケースワーカーとして子どもを取り巻く環境を整えるお仕事です。子どもの周辺環境を調査し、必要があれば他の機関と協力するために調整に入ります。子どもが安心して生活できる環境作りをサポートしていくため、児童心理司と比較すると保護者と関わる仕事というイメージです。
②児童心理司
・子どもの発達検査や面談による心理診断
・施設利用可否の判断や支援計画の作成、理学的な療法の判断・支援
児童心理司は子どもに寄り添いカウンセリング等を通して子どもの心理的支援を行うお仕事です。
そのため、主に子どもと関わり子どもの精神的な安定をサポートするため、主に子どもの対応が中心となります。
③嘱託職員・パート・アルバイト
・電話の受付対応をする電話相談員
・昼・夜間保護した子どもの世話をする生活指導員
・一時保護施設の管理を行う用務員
など
嘱託・パート・アルバイトの場合は専門知識を必要とされない業務が多いです。
しかし求人サイト等で募集している全ての職が資格不要なのではなく、保育士資格必須というものもあるため、求人を探す際は必ず資格の項目を確認するようにしましょう。
大変なこと
児童相談所で働くうえで大変なこと
- 相談件数が増えている
- 離職率が高く、人材を確保しづらい
- 精神的負担が大きい
- ICT化が遅れている
参考元:児童相談所は激務?「辛い」「辞めたい」評判の真相や激務の理由を解説/ビズアル
- 相談件数が増えている
出典:令和元年度 児童相談所での児童虐待相談対応件数/厚生労働省
上記のグラフからわかる通り、児童虐待の対応件数は年々伸び続け、これからも更に増え続けていくことが予測されます。相談件数の急増に対して児童相談所の施設数は増加傾向にあるものの間に合っておらず、対応が追いついていないのが現状です。
コロナ禍により更に相談件数が増えたのにもかかわらず、職員数は限られている状況のため、職員ひとりひとりの負担が増えてしまっているのです。児童相談所が取り扱う仕事は特殊であるため、ひとつひとつの案件に心を砕かねばならず、数が増えるたびに職員の肉体的・心理的負担が増えてしまっています。時間外労働の時間も多く、離職してしまう人が多いです。
- 離職率が高く、人材を確保しづらい
児童相談所は離職率が高く、また増加し続ける相談件数も相まって、なかなか人材が確保しきれていません。高度な専門知識を必要とされるため、人材を確保するハードルも高く、結果的に残った職員が案件を掛け持ちして残業することも少なくありません。
虐待する親の対応等職員の精神的負担のかかる業務も多くあり、抱えきれずに精神を病んでしまう職員も多いです。
- 精神的負担が大きい
特に精神的負荷のかかる仕事として多く挙げられるのは「虐待する保護者の対応」です。虐待する親・保護者もまた被虐待児であったり、発達や精神面に問題を抱えていることが多くあります。
児童相談所は虐待を受ける子どもを保護するだけではなく、子どもが安心して暮らせるよう環境を整えるのも仕事のひとつですが、保護者の協力を得られない場合は施設で保護し続ける等の対策を講じねばなりません。子どもを嫌がる保護者から引きはがす、保護者を説得する、保護者のサポート…などが、児童相談所で働く相談員の精神的負担として大きくのしかかりやすいのです。
- ICT化が遅れている
児童相談所は相談所内外の機関と十分な連携をとる必要がありますが、申し送りや情報共有をするにあたって情報のデータベース化が進んでいません。スムーズな情報共有ができないと、その分関係者や機関との連携をとる際ひとりひとりの負担が増えることに繋がります。
やりがい
もちろん、児童相談所で働くことは悪いことばかりではありません。人と人が密に関わる仕事なので、やりがいを感じる方も多くいます。児童相談所はやりがいをもっていないと、そのしんどさから精神的に病んでしまうこともあります。
- 子ども(保護者)の人生を救う
子どもの虐待死の報道を多く目にしますが、児童相談所職員はまさに最前線で命を救うお仕事です。
早期に発見し子どもの命を守ること・心身のケアをすることは子どもの未来を守ります。
また、子どもの環境を改善することで問題を抱える保護者の救済もできるのです。
- 社会貢献できる
子どもの命を守ることは、社会・未来を守ることです。家庭の問題を解決し子どもたちを救うことで、より良い社会が作られていきます。年々児童福祉・児童虐待への関心が強まるなか、児童相談所はさらに注目を集めるでしょう。
正規職員(公務員)と非常勤職員(嘱託職員・パート)どちらが良いのか
正規職員の場合は公務員になるためメリットはたくさんありますが、児童相談所という性質上どうしても心身に負担がかかってしまうことが多く、離職してしまう人もたくさんいます。
やりがい・使命感を持って働き続けられる場合は正規職員がおすすめです。
非常勤の場合は正規職員と比較すると負担が少なくできますが、やはり収入面で不安が残ってしまいます。
そのため非常勤でも「児童相談所で働きたい」「子どもを救いたい」という方は、安定した副業をしながら児童相談所で働くと、収入面・精神面で余裕を持てるでしょう。
【実際の声】シェルターで非常勤+オンライン家庭教師
実際に児童養護施設やシェルターで勉強を教えながら、副業でオンライン家庭教師をされている中村先生にお話を伺いました。
児童養護施設(被虐待児の一次保護)や母子シェルター(DVから母子を保護する施設)で教えることもあります。そこは不定期でそういったお子さんが来たときだけ呼ばれます。毎日ではないので、体力的にも丁度良いです。お休みになったら家事がはかどりますしお呼びがかかればまた行くようにしています。
(中略)
私と同じ条件の皆様、私と同じ条件ではない方、それぞれだとは思いますが、今までの対面しかない塾講師しかないという教育の在り方にオンライン家庭教師という1つの選択肢を新しい働き方として検討してみることをおすすめします。
中村先生のインタビュー全文はこちら↓
対面で需要が少ない教科もオンラインなら依頼殺到!/マナリンク
家庭環境に問題を抱えている、事情があって学校に通えない等、困っている子どもは全国各地にいます。オンライン家庭教師なら、児童相談所・養護施設・シェルター等で非常勤職員として活躍しながら、オンラインで全国の子どものサポートができます。
また、オンライン家庭教師マナリンクなら非常勤で収入が不安定な場合でも、高時給(3,000円以上~)、指導教科、授業スケジュールを自身で設定できるため、不規則な勤務形態であっても安定した収入が得られます。
まとめ
児童相談所で働くためには児童福祉司・児童心理司のいずれかを目指すのがメジャーですが、要件が多いため既に社会人になっている方にはハードルが高いです。
採用の流れとしても公務員試験を受ける必要があり、すぐに児童相談所で働きたい場合は非常勤職員(嘱託職員・パート・アルバイト)という選択肢があります。
今回はそんな方に向けて、児童相談所以内にも、子どもに関わる仕事や仕事が比較でわかる資料をご用意しました。子どもを支援しながら働きたい方必見の資料となっています。
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免責事項
こちらの情報は執筆段階でのリサーチ・状況において執筆されたものであり、随時内容のメンテナンスを行っておりますが、 現時点での正確性を保証するものではございませんのでご了承いただけますと幸いです。