教員を辞めてよかった!転職後に活躍している方をご紹介
はじめに
文部科学省の令和元年度学校教員統計調査によると、公立小学校・中学校・高校教員の中で病気を理由に離職した人の半数以上が精神疾患によるものでした。
2021年春に文部科学省が発案した「♯教員のバトン プロジェクト」において、Twitterやnote等のSNSコンテンツで教員の方々が教育現場の取り組みや思いを発信し、教職を目指す人へのポジティブなメッセージを送ることを目的としていましたが、実際は現場教員による「教職はどれだけつらい仕事なのか」という文科省の目論見とは異なるコメントが相次いだことが話題となりました。
参考元:「#教員のバトン」プロジェクトについて/文部科学省
教職課程を修了後、難関である教員採用試験を通過し、晴れて公務員として公立学校で働く素晴らしい仕事に違いありませんが、実際は公立・私立に限らず「教員の仕事はつらい」「教員はやめたほうがいい」「教員を辞めてよかった」など、負のイメージが教員だけではなく世間にも広まっています。
実際に「#教員のバトンプロジェクト」では実際に「教員を辞めてよかった」という元教員の方の声も多く寄せられています。
教員の過酷な労働環境や心的ストレスにより精神を患ってしまう人も多く、年々負のイメージの認知を広げる一方で、教員救済の動きが鈍いのが現状です。
「辞められるのなら辞めたい」と考える現役教員の方へ向けて、この記事では教員に向いている人について、教員を辞めて成功したパターン、おすすめの仕事についてご紹介します。
教員を辞めてよかった!退職後に教科指導に専念できている方をご紹介
教員を辞めたいと考えてはいても、実際に行動に移すのは難しいです。教員を辞め海外で日本人学校の教師となったのち、現在非常勤講師として働いていらっしゃる鈴木先生に、教員を辞めた理由やその後の生活についてインタビューをしました。
英語科なので海外で働きたいという気持ちはもちろんあったのですが、最初は部活動の顧問で年間3日間の休みが3年間続いたので、これは一生続けられる仕事ではないと思い、自分の中では先に退職が決まりました。
(中略)
本当に教育が好きで携わっていたくて、なぜ正規の教員から非常勤講師になったかという点は、専門性というか「英語」をもっと教えてきたいっていうのがあったからですね。
鈴木先生のインタビュー全文はこちら↓
「専門的な英語指導を」シンガポールから日本の中高一貫校へ/マナリンク
やはり、教員採用試験教員を突破して正職員になったとしても、授業以外の業務が多い教員生活では、業務の多さから時間外労働や休日出勤が多くなってしまう傾向があります。
担当教科に対する情熱を持ち、もっと授業に力を入れたいと考えていても、なかなか授業に集中できず「思っていた生活と違う」とままならぬ思いを抱く人もいるでしょう。鈴木先生のケースでは「英語指導に集中したい」という思いから学校退職を決意し、その後は英語指導に特化した非常勤講師/オンライン家庭教師として活躍されています。
「教員を辞めたい」「辞めたほうがいいのかも?」と迷われている方は、鈴木先生のようにやりたいことを明確にし、その後のキャリアプランをしっかり練ると転職も成功しやすいでしょう。
ーー教員時代から現在のお仕事に転職されて、生活はどのように変わりましたか?
教員時代は、平日は朝7時に家を出て夜は21時に帰ってくるというような生活でしたので、家は寝る場所になっていました。現在の仕事はテレワークなので、9時から仕事開始であれば8時半までゆっくりしていても問題ありません。退勤時刻も定時の18時に終わることがほとんどなので、1日の中で仕事に割く時間が非常に変わりましたね。
教員から転職!経験やスキルを活かし新天地で縛られない自由な働き方を実現!/マナリンク
また、教員から民間企業へ転職されて新天地で活躍されている方もいらっしゃいます!教員からの転職をどうやって成功させたか、どのくらいの期間かかったのかなどをインタビューさせていただきましたので、転職を検討されている先生はぜひ五十嵐先生のインタビューをご覧ください。
教員の仕事を続けていけるか確認しよう
教員がつらい仕事であることは明確とは言え、子どもを導く、やりがい溢れる尊いお仕事です。「教員を辞めたい!」という思いが先行してしまい辞めてしまったり、辞められないままずるずると続けてしまって心身を病んでしまう前に、まずは自身が教員の仕事を続けて行っても大丈夫なのか向き合ってみると良いでしょう。
教職の性質上、特に公立は福利厚生がしっかりしており離職率は他の職業と比べ低い傾向にあります。
しかし、休職率は高いため、それだけストレスを感じている教員が多いことを示しています。
教員の実態や転職に関する記事はこちら↓
教員を辞めるのはもったいない?教師以外の教育関係の仕事でスキルを活かせます!/マナリンク
教員に向いているか否かをチェックする際は、
- 何が(業務内容・人間関係等)つらいのか?
- 異動すれば解決する問題なのか?
- 教員ならではのつらさなのか?(教員を辞めれば何とかなるのか)
をじっくり検討すると、教員を続けられるか/辞めるべきか/辞めた後どうするべきかが見えてきます。
しかし、現状に何か具体的な問題がないとしても、教員生活自体に何らかのストレス/負担がある場合は無理して教員を続けても、ゆくゆくは心身の負担が増えてしまうでしょう。現状少しでも「つらい」と感じているのなら、徐々に退職後のライププランを考えて行動することをおすすめします。
教員を続けるべきタイプ
- 教師の仕事を辞めた場合を想像するとより辛くなる(未練がある) →教員の仕事にこだわりがあり、達成したい目標がある場合
- 志をもって仕事に今後も向き合っていける →教員になるのが夢だった、今後も頑張りたい場合
- 公務員に強いメリットを感じている →公務員という立場・待遇を手放したくない場合
上記のように、現在業務内容や量が多くストレスを感じているが、教員の仕事に対して情熱・やる気を持っており退職してしまったら後悔が残ってしまうという方は、働き方を工夫したりして負担を軽減しながらも教員として働き続けた方が良いでしょう。
教職課程や採用試験等、努力して獲得したポジションであるため、手放したくない方は今一度業務量を見直しワークライフバランスを整えると問題が解決する手立てになります。
教員を辞めるべきタイプ
- 辞めたい理由が明確に定まっている →ストレス源がわかっていて、解消したい場合
- 教員を続けていった場合のビジョンが見えない →キャリアを続けていった先が見切れてしまっている、先が見えない場合
- プライベートや家庭の時間を増やしたい →ワークライフバランスを重視したい、時間外業務を減らしたい、定時で帰りたい場合
- 学校や児童生徒、教職員のことを思い出すと苦しい →学校特有の人間関係がストレスとなっている場合
- 体調不良が続いている →既に心身に不調をきたしている場合
- 急に涙がでたり、不安定になったりすることがある →精神的な限界が近づいている場合
上記のように「教員の仕事に何らかの不満がある」「将来性を見出せない」「既に心身に不調を感じている」場合は教員に向いていない方が多いでしょう。
仕事をする上では、待遇の他にもやりがいや将来性が大事です。さまざまな条件が重なり合い、自身のライフスタイルに合致することで安心して働けます。
しかし、教員の仕事は他の職業と比較すると業務過多だったり精神的ストレスが多い傾向にあり、無理して働き続けてしまうと体調や精神を蝕む結果となってしまいます。無理して働き続ける前に、今一度自身の教員生活における良いところ・気になるところを洗い出し、キャリアプランの再考をしましょう。
教員をやめた後におすすめの仕事
教員経験が活かせる、おすすめの仕事をご紹介します。
【教育関係の仕事】
- 非常勤講師
メリット
・教員免許を活かせる
・自分の時間が増える
デメリット
・年収が下がる・収入が不安定になる
・雇用が安定しない
- 塾講師(学習塾・予備校)
メリット
・教員免許があると有利
・元教員の立場から進路指導できる
デメリット
・塾・予備校によっては業務量が教員時代と変わらない可能性がある
・時間外労働が多い傾向にある
- 個人塾の経営
メリット
・教員時代の経験を活かせる
・人間関係を気にしなくて良い
デメリット
・立ち上げ直後~軌道に乗せるまで難しく、経営の知識・手腕も重要になる
・収入が安定しない可能性がある
- 家庭教師
メリット
・スケジュール調整がしやすく、余裕を持って働ける
・塾よりも高時給であることが多い
デメリット
・移動時間がかかる
・一日に担当できる授業数に限界がある
- オンライン家庭教師
メリット
・在宅でできるため移動時間がかからない
・スケジュール調整がしやすい
デメリット
・PC、通信環境を整える必要があり、初期費用がかかる
- 教材開発・編集
メリット
・教員免許があると有利
・教育現場の経験を活かせる
デメリット
・編集の知識や経験を重視される
・高度な専門知識を要求される場合がある
【教育関係以外の仕事】
- 営業職
平均年収:426万円(会社・成績によって変動あり)
メリット
・授業や面談で培ったコミュニケーション能力を活かせる
・時間の制約がゆるい職場がある
デメリット
・精神的ストレスを感じる人が多い
・ノルマがある
参考元:法人営業の仕事の年収・時給・給料情報/求人ボックス
- 事務職
平均年収:302万円
メリット
・教材作成や配布物(プリント)作成で培われたパソコンスキルを活かせる
・業務量が決まっている
デメリット
・事務や経理の専門的な知識が必要な場合がある
・収入が大きく増えることが少ない
参考元:一般事務の仕事の年収・時給・給料情報/求人ボックス
オンライン家庭教員は副業でも本業でも可能
教員の方は副業できない方が多いですが、もし限界を感じすぐに退職してしまった場合でも、オンライン家庭教師であれば本業としても副業としても、教員経験を活かしながら生活を支えられます。実際に副業でオンライン家庭教師をされている方々のインタビューをまとめました。
①非常勤講師+オンライン家庭教師
本当に教育が好きで携わっていたくて、なぜ正規の教員から非常勤講師になったかという点は、専門性というか「英語」をもっと教えてきたいっていうのがあったからですね。それで非常勤講師になりましたが、非常勤講師は働く時間が短いので、英語を教えることに関わった何かをしようということで、英会話や家庭教師などの両立できる仕事を探していました。
ただ、「出勤する」となると両立が大変なので、何かオンラインでないかなと思い、「オンライン 家庭教師」で検索してオンライン家庭教師の存在を知りました!
鈴木先生のインタビュー全文はこちら↓
「専門的な英語指導を」シンガポールから日本の中高一貫校へ/マナリンク
②塾講師+オンライン家庭教師
独身時代は週7働いていた時期もあり、『仕事』や『お金』が最優先でした。それが結婚を期に家族ができたことにより、『時間』が最優先に変わりました。仕事にはやり甲斐は今でも感じているのですが、もう少し家族と一緒にいる時間を増やしていきたいと思うようになりました。
(中略)
オンライン家庭教師であれば、60歳以降でもバリバリ働くことができます。ではなぜ、それを今の段階から始めようかと思ったかと言うと、今の段階から始めておけば、ノウハウも身に付きますし、自分のオンライン家庭教師としての知名度も付きます。
よって、仕事の主軸をシフトする段階に入ったときに、予備校講師からオンライン家庭教師へと、自分のキャリアにブレーキを踏むことなくシフトチェンジしていくことができると思ったからです。
あじき先生のインタビュー全文はこちら↓
誰でもNo.1になれるチャンスがある。現役予備校講師がオンライン家庭教師を始めた理由。/マナリンク
③個人塾経営+オンライン家庭教師
個人塾をはじめた時期が2020年3月の緊急事態宣言頃でして、生徒数もまだ0人だったという状況だったこともありオンライン家庭教師をやらない理由はなかったですね。
(中略)
また指導の面ですと、オンライン家庭教師では日頃、私が会わないタイプの生徒さんと会えます。やはり地域の塾ですとあまり会わないような受験への意識が強い生徒さんに会うことができ、とても良い刺激になっています。様々な生徒さんに関わっていかないと感覚が鈍ってしまうので、質の良い塾講師であり続けるために必要なことだと思います。
原野先生のインタビュー全文はこちら↓
個人塾経営者だからこそオンライン家庭教師をする理由/マナリンク
④教材開発+オンライン家庭教師
教材関係の仕事は守秘義務があるので、オフィスに出勤して行うような仕事内容ではなく、それまで外での仕事経験があまりない私にはちょうど良かったです。
ただ、教材関係の仕事は閑散期と繁忙期の波が激しいので、定期的な仕事も並行してやりたいと思い、オンライン家庭教師に辿り着きました。
(中略)
オンライン家庭教師は、時間や場所にとらわれずできる仕事ですし、これから伸びる業界だと思うので、何か得意な事や指導経験がある方は是非挑戦していただきたいなと思います!
佐々木先生のインタビュー全文はこちら↓
【教材のプロが語る】すべての仕事を在宅で完結させるための仕事術/マナリンク
まとめ
過酷なイメージがある教員のお仕事ですが、実際に「辞めてよかった」と思う元教員の方も大勢います。まずは自身が教員に向いているのかどうかを確認し、向いていない場合はどのようなキャリア形成をしていくのかを検討しましょう。
教員以外のキャリア形成に当たって、教員の経験を活かせる職業を視野に入れながら、副業としてオンライン家庭教師で生活を安定させるのも手です。
免責事項
こちらの情報は執筆段階でのリサーチ・状況において執筆されたものであり、随時内容のメンテナンスを行っておりますが、 現時点での正確性を保証するものではございませんのでご了承いただけますと幸いです。