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インクルーシブ教育とは?実践例や課題についてわかりやすく解説!

2022/9/15
インクルーシブ教育とは?実践例や課題についてわかりやすく解説!

インクルーシブ教育とは

インクルーシブ教育とは、障がいのあるなしにかかわらず、全ての子どもたちが共に学習する仕組みのことです。
2014年1月に「障害者の権利に関する条約」が制定され、国は共生社会の実現を掲げています。条約の中では、障がいのある生徒が平等に教育を受けられるように、不当な差別の禁止や合理的配慮の提供が義務付けられています。
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インクルーシブ教育が必要な理由

インクルーシブ教育は、障がいのある子どもたちが社会の一員として生きていくために必要です。
障がいの有無にかかわらず、可能な限り同じ環境で学ぶことができれば、子どもの能力や可能性を最大限伸ばせます。同世代の子どもや地域の人々と積極的に交流することで、地域での生活基盤を作ることもできます。
また、インクルーシブ教育は障がいのない子どもたちにとっても重要な意味を持ちます。インクルーシブ教育で共に学ぶことにより、障がい者への理解が深まるからです。実際にどのような配慮が必要なのか、授業形態やコミュニケーションを工夫すると、同じ場所で学べると知ることができます。
短期間の交流だけでは見えない問題点も出てくるでしょう。クラスや学校単位で解決法を考え、意見交換をしながら共生できる環境作りを行う経験は、どの生徒にとっても必要です。これは、教育だけでなく、インクルーシブな社会を構築することにもつながります。

インクルーシブ教育とインテグレーション教育の違い

インクルーシブ教育とインテグレーション教育は、どちらもノーマライゼーションの理念をもとに確立しました。ノーマライゼーションとは、障がいの有無にかかわらず、社会参加できる環境を整備する理念や運動のことです。
先に取り入れられたインテグレーション教育の課題を解消するために生まれたのが、インクルーシブ教育です。
ノーマライゼーションの理念が普及し始めた頃、まず生まれたのがインテグレーション教育です。統合教育とも呼ばれていました。
インテグレーション教育にの実施により、障がいを持つ生徒が通常学級で学べるようになりました。
しかし、障がいを持つ生徒を同じ環境に置くだけでは、同じように教育を受けられません。インテグレーション教育を進める中で、生徒の障がいや困りごとに合わせた配慮が必要である、という課題が生まれました。
インクルーシブ教育では、インテグレーション教育の課題を受けた教育システムです。障がいによって必要な配慮を提供して、さらなる共生社会をめざしています。

インクルーシブ教育が進まない背景

日本では平等を重要視する文化があり、個々に配慮した授業形態やサポートが浸透しにくいという現状があります。
例えば、聴覚過敏の生徒がイヤーマフをつけて授業に参加することや、感覚過敏の生徒が学校指定以外の体操服を着て運動をすることは、個々の特性への配慮です。これらのことに対する教師、保護者、生徒の理解を深める努力が必要です。
また、特別支援教育に携わる人員が不足していることも、インクルーシブ教育が進まない原因の1つです。障がいのある生徒が通常学校で教育を受ける場合、学級担任だけでは賄えない配慮が工夫が必要となります。特別支援教育支援員など、適切な人数を配置することが今後の課題です。
その他にも、特別支援学校や通常学校にもいくつかの課題が残っています。
インクルーシブ教育を進めることの重要性を意識し、担当教員や保護者、生徒だけでなく、学校全体で取り組む必要があります。

特別支援学校の課題

新学習指導要領では「心のバリアフリー化」として、特別支援学校生徒が地域と関わる共同学習の実施が推進されています。
実施にあたり、地域交流への新しい取り組みが必要です。地域交流の実施については、まず保護者や教職員の理解啓発を図ることが課題となっています。
また、特別支援学校に通う生徒への職業教育・就労支援の充実も重要です。特別支援学校に通う高校生の就職率は、年々高くなっています。
特別支援学校高等部(本科)卒業生の就職率の推移を表にまとめました。
特別支援学校卒業生の就職率
出典元:文部科学省「特別支援教育資料(令和2年度)」2021年10月

特別支援学校生徒の就職には、学校側のサポートが必要です。生徒と就労先がスムーズにコミュニケーションを取れるように橋渡しをしたり、就労先での支援を求めたりすることが必要です。
生徒の就労支援に十分な人員が必要な他、教員のスキル向上も求められています。

通常学校の課題

通常学校では、個別の教育支援計画・指導計画の充実が課題です。
1人1人の障がいに応じたきめ細かい指導ができるように、指導目標や指導方法を盛り込んだ指導計画を作成する必要があります。
まだ少ない特別支援教育支援員の活用についても、課題が残っています。

教員の課題

特別支援学校の教員は、人員不足解消のために免許状保有率の向上が課題となっています。また、教員への研修の充実も必要です。
通常学校の教員は、特別支援教育に関する基礎知識の習得が課題です。特別支援学校との人事交流や、具体的で実践的な研修の充実が求められています。

インクルーシブ教育を構築するにはどうしたらいい?

インクルーシブ教育を構築するために、必要なポイントがあります。
ここからは、合理的配慮とユニバーサルデザインという2つのポイントについて解説していきます。

合理的配慮

「合理的配慮」とは、障がいのある子どもが他の子どもと平等に「教育を受ける権利」を確保するために、学校の設置者や学校が必要かつ適当な変更・調整を行うことです。
出典元:文部科学省「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」2012年7月23日

本人や保護者から合理的配慮を求める申し出があった場合、学校側は提供する必要があります。
例えば、視覚障がいのある生徒が、盲導犬の介助を受けて授業に参加できるようにすることは、合理的配慮です。
読み書きが困難な学習障がいを持つ生徒に対して、拡大文字を使った教材を提供することも合理的配慮の1つです。
合理的配慮は「この障がいに対してこの対応をすればいい」という画一的なものではありません。生徒1人1人の困りごとを解決して学習の場が奪われないように、個別で考えていく必要があります。
また、合理的配慮の決定・提供の際には組織の均衡を崩さず、過度の負担にならないようにする必要もあります。
したがって、本人や保護者の要望を全て叶えられないこともあります。教員だけではなく、学校組織も含めて細やかなコミュニケーションを取り、どのような配慮が適しているかを話し合いましょう。

ユニバーサルデザイン

ユニバーサルデザインとは、最大限可能な範囲ですべての人が使用できる製品、環境、計画、サービスを設計することです。授業におけるユニバーサルデザインは、学力や障害の有無にかかわらず、すべての子供が楽しく学び、理解できるように工夫・配慮された授業のことです。例えば、授業の流れを紙や黒板に書いて、生徒が見えるところに貼っておくのもユニバーサルデザインです。説明や問題演習が一区切りついたら「今はここまで終わったよ」と示すと、さらに効果的です。
ユニバーサルデザインを授業や教材に取り入れると、全ての生徒が使いやすく、学習効率も向上します。

インクルーシブ教育の実践例

ここからは、インクルーシブ教育を実際に取り入れた例について紹介します。
また、授業で障壁を取り除く具体的な工夫についても解説します。

学習障害のある中学生の生徒は、漢字が覚えられない、板書が間に合わない、読めない漢字が多いなどの困りごとがありました。
特別支援教育士の個別指導を受けるほか、学級担任とも情報を共有することで、合理的配慮や家庭学習の配慮を検討しました。生徒に対する合理的配慮は、プリントの拡大、オンラインツールの使用、音声学習の使用などの工夫です。
オンライン学習や定期試験をパソコンで記入することで、生徒は自分の考えをまとめられるようになりました。また、課題に対する達成感を持てるようになり、勉強に前向きに取り組む姿勢も見られました。

特別支援学級の全盲生徒と、通常学級の弱視生徒の2人が所属する学校では、交流学習を通じて、周囲の児童との関わりを深める工夫をしました。
また、全盲生徒、弱視生とともに個別の支援計画を立てて全職員で情報を共有しました。関係職員で連携を図りながら指導にあたったことで、生徒の困り事を細かに把握できたり、多様な配慮が可能となったのです。これにより、対象生徒の学習意欲が向上する結果も得られました。

授業で障壁を取り除く工夫のためには、以下の3つのポイントが重要です。

  • 参加する
  • 理解する
  • 習得する


「参加する」では、学級内の理解促進やルールの明確化が必要です。対象生徒の失敗をからかわない、笑わない学級の雰囲気作りや、不明点を安心して表明できるような環境を作って全員参加の教育を目指しましょう。また、困り事を抱えた生徒に対して、質問の仕方や意見の伝え方などのルールを決めて、授業参加をしやすくすることも重要です。
「理解する」では、授業の狙いや発問を絞って教員が伝えることで、生徒が理解しやすい授業になります。また、授業課題のスモールステップ化も重要です。生徒が目標に到達しやすくするために、学習過程に細やかな段階を作りましょう。授業に写真や動画画像を効果的に活用すると、視覚的にも理解しやすい授業となります。
「習得する」では、生徒が学んだ知識をきちんと身に付けることを目標とします。以前習ったことを授業で復習することで、さらに理解が深まります。また、ある単元で学んだ見方や考え方を、別の単元でも生かせるように伝えてみましょう。授業で習得した知識や技能を、どのように実用的に使えるのかを教えることも効果的ですよ。

特別支援教育に携わる人におすすめ!オンライン家庭教師

インクルーシブ教育は、1人1人に寄り添い、障がいを持つ子どもに「できた!」を提供できるシステムです。これは学校だけではなく、家庭学習、塾や家庭教師などの学習でも重要な視点となります。
インクルーシブ教育システムなどに関心のある特別支援に携わる人には、オンライン家庭教師がおすすめ。
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また、書画カメラがレンタルできるので、生徒が視覚的にも分かりやすい授業が展開できます。生徒に合わせた個別の授業計画が立てられるので、学校の授業でついていけなかった部分をゆっくり解説することも可能。
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