短時間正社員とは?保険制度・残業・短時間正社員を目指しやすい職種まで解説
国立社会保障・人口問題研究所の「出産前の有職者に係る第1子出産前後の就業状況の調査」では、出産による退職を3割以上の人が経験していることが判明しました。就業継続した人は、有給利用・なしと合わせても半数以下で、子育てと両立しながら働き続けることの大変さがデータから読み取れます。
出典:国立社会保障・人口問題研究所ー「第15回出生動向基本調査(夫婦調査)」
しかし、現代では子育てや家庭と両立しながら、正社員として働く「短時間正社員」の働き方が広がりつつあります。今回は、その短時間正社員について、保険制度や残業、パートから短時間正社員を目指しやすい職種までまとめました。この記事を読んでいただければ、短時間正社員として働くことはどういうことなのか理解できます。
短時間正社員とは?
家庭と仕事を両立しながら、正社員としてキャリアを積みたいと考えている方。そんな方にには「短時間正社員」がおすすめです。多様な働き方が求められている現代だからこそ、注目を集めている短時間正社員。今から、短時間正社員の条件や、どんな人が向いているのかお話しします。
短時間正社員とは何か
短時間正社員とは、フルタイムの正社員と比べて1週間の所定労働時間が短い正社員です。以下の条件を満たせば、短時間正社員として働くことができます。
- 期間定めのない労働契約(無期労働契約)を締結していること
- 時間あたりの基本給及、賞与、退職金の算定方式が同種のフルタイム社員と同等であること
短時間正社員は、正社員として雇用してもらいながら、短時間で勤務することで企業と社員双方にメリットをもたらす新しい雇用制度です、多様な働き方が求められている現代だからこそ注目が集まる働き方だと言えます。
短時間正社員はどんな人が向いているのか
短時間正社員はどのような人が向いていて、どんな場合に活用している人が多いのでしょうか。具体的な事例を挙げながら、ご紹介していきます。
- 育児に専念したい人
「短時間正社員に関する労働アンケート調査」では、66.1 %の人が仕事と育児を両立させたいから、と答えました。正社員として働く人の中には、仕事と育児を両立したくても、退職を余儀なくされる人も多いのが現状でした。
ですが、短時間正社員として働くことで勤務時間の設定が自身で可能になり、家庭と両立がしやすくなります。短時間正社員制度を取り入れている企業の中には、早朝から4時間だけ働くこともできる場合もあるので、保育園や幼稚園の送り迎えに合わせ働けます。
- 介護をしている人
厚生労働省による「介護保険事業状況報告の概要」によると、2021年時点で要介護者認定者数は667.40万人。2019年3月末時点で658万人。この数字は2017年度比で、約17万人2.7%増えたことになります。
このデータからもわかる通り、要介護者は増え続けていて、そのため介護する人も毎年増え続けているのです。介護も育児と同様に、十分に時間の確保が必要。短時間正社員として働けば、フルタイムで働くよりも時間の確保ができるため、介護との両立も可能になります。
- 休業から復職したいと考えている人
病気、怪我、メンタルヘルスなどの理由で休職をしていた人が、復職を目指して短時間正社員として働くケースはあります。心身の健康不全で休職していた人が、いきなり正社員として働き出すのは、本人も会社側も不安でしょう。
そこで短時間正社員制度を活用します。どの程度仕事ができるのか見極め、慣れてきた段階で正社員に復職することも多いです。短時間正社員制度を活用すれば、再発防止ができ、スムーズな復職にもつながるでしょう。
短時間正社員の保険制度について
短時間正社員は、パートやアルバイトとは異なり正社員として雇われるため、保険制度は適用されます。しかし、いくつかの条件があるので、社会保険と雇用保険に分けてご説明していきます。
社会保険
短時間正社員の社会保険の適用ルールは「4分の3ルール」で知られています。4分の3ルールとは「1日または1週間の所定労働時間と、1ヶ月の所定労働日数が正社員のおおよそ4分の3以上の場合は、被保険者になる」という取り扱いです。
また、厚生労働省は社会保険への加入を、以下の基準を満たす場合のみ認めています。
- 労働契約、就業規則、給与規程等に短時間正社員に係る規定があること
- 期間の定めがない労働契約が締結されていること
- 給与規程等における時間あたりの基本給、賞与、退職金等の算出方法が、同一事業所のフルタイム正社員と同等であること。かつ、就労実態も規則等に則していること
雇用保険
雇用保険は、雇用保険法第6条第2号により「週所定労働時間が20時間未満の場合は、適用除外になる」と決められています。この点では、パート、アルバイト、短時間正社員も変わりません。
短時間正社員の残業について
短時間正社員の残業には、3つの制限があります。所定外労働時間の制限、時間外労働時間の制限。深夜残業労働時間の制限です。残業は、働く上で大事なポイントとなるので、詳しく短時間正社員の残についてご説明していきます。
所定外労働時間の制限
短時間正社員には「所定外労働時間」の制限があります。所定外労働時間は、就業規則で定められた労働時間を超過した労働時間。
労働者と事業主の間には、就業規則や雇用契約書で示されている所定労働時間があります。所定労働時間は、事業主が必要とした判断に任せて、労働基準法の制限で労働者に所定外労働の指示が可能です。ですが、3歳未満の子どもを持つ労働者が短時間正社員として勤務した場合は、所定外労働の指示を行えません。
時間外労働時間の制限
労働時間は労働基準法により、原則1日8時間、1週間40時間以内と決まっています。この基準の8時間を超えると「時間外労働時間」としてみなされます。
短時間正社員では、時間外労働(残業)も制限の対象になります。ですが、制限の対象となる範囲は、小学校就学の始期に達するまでの養育をする労働者です。条件を満たす労働者が、子どもの養育を目的に短時間正社員として働いた場合。1ヶ月につき24時間、1年につき150時間を超える時間外労働はできません。
時間外労働の制限の請求は、1回の請求につき1ヶ月以上1年以内の期間の指定が可能です。
深夜残業労働時間の制限
短時間正社員では、深夜労働の制限も発生します。小学校就学の始期に達するまでの養育をする労働者は、午後10時から午前5時までの深夜残業が制限されます。
深夜残業の制限請求は、1ヶ月前までに行うことが原則です。1回につき1ヶ月以上、6ヶ月いないの期間何度でも請求できます。
パートから短時間正社員につながりやすい仕事
この記事を読んでいる方の中には、まずはパートで働いて、様子を見てから短時間正社員として働きたいと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今からは、パートから短時間正社員につながりやすい職種をご紹介します。
- 接客業
接客業は女性が推奨され、活躍しやすい仕事です。会社側も正社員昇進に積極的であることが多いため、パートから短時間正社員を目指しやすい職種と言えます。
接客業は主に、ショップの販売員、ホテルのフロント、エステティシャン、飲食店のホールスタッフ、レジスタッフなどが挙げられます。
- 事務業
人件費に余裕はないけど、人手不足で悩む個人事業主や中小企業では、一般事務や営業事務にパートを採用していることはよくあります。
職場への貢献度が高ければ、最終的に短時間正社員・正社員への昇格も期待できます。事務職はパソコンを使用して、データを入力したり、書類の作成をしたり、電話対応をする仕事がメインです。
- 介護職
介護職は資格が必要だと思われる方も多いかもしれません。ですが、資格がなくても働き始めることができます。また、働きながら資格取得を目指すことが可能です。
先ほどお伝えしたように、要介護認定者の数は年々増え続け、介護職の需要は拡大する一方です。需要が高い職だからこそ、短時間正社員・正社への道も開けやすいと言えます。
- 教育業
教育業も介護職と同じく、人手不足が懸念される職種。多くの教育関連の会社で、パート・短時間正社員・正社員の需要が高まっています。
教育業の中でも、パートから短時間正社員を目指すなら「マナリンク」のようなオンライン家庭教師がおすすめ。オンライン家庭教師であれば、自宅で仕事をすることができ、育児や家事との両立も可能です。
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仕事探しのポイント
パートから時短正社員を目指す場合は、その企業が短時間正社員制度を導入していることが条件となります。短時間勤務制度の導入が、各事業主に義務付けられたのは2009年。現在では、日本企業の約4割の企業短時間正社員制度を導入していると言われています。
求人情報で仕事を探す際は、短時間正社員制度という文字が、サイト上に記載されているかどうか確認しましょう。さらに、どのくらいの人が短時間正社員制度を利用しているか確認することも大切です。
制度自体は取り入れられていても、周囲の理解がないため、サポートが不十分で利用できない場合もあるからです。
まとめ
今回は短時間正社員について、保険制度や残業、パートから短時間正社員につながりやすい仕事までご紹介しました。短時間正社員は、多様性が求められ、人口変動が激しい時代だからこそ、これから主流になる働き方になると予想できます。短時間正社員の働き方を有効的に活用して、家庭との両立を目指しましょう。
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こちらの情報は執筆段階でのリサーチ・状況において執筆されたものであり、随時内容のメンテナンスを行っておりますが、 現時点での正確性を保証するものではございませんのでご了承いただけますと幸いです。