【不登校支援がしたい人向け】不登校になる原因や実践例のポイントを知っておこう!
「不登校支援がしたいけど、どんな職業・ボランティアがあるのか......?」「不登校児童・生徒の現状や課題は何か?」
今回は、不登校支援にこのような疑問をお持ちの方に向けて、不登校支援のポイントや不登校の現状を解説します。
不登校児童・生徒の現状
「不登校児童・生徒の支援を行いたいけれど、現状がわからない......」「そもそも不登校になる原因は何か?」不登校支援を始めたいと考えている方の中には、このような不安をお持ちの方がいるでしょう。
不登校支援を始める前には、不登校の子ども達の現状や課題をよく理解しておくことが大切です。ここからは、不登校の児童・生徒数や不登校になる原因を解説します。
不登校の児童・生徒数
文部科学省による「令和元年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」では、不登校児童・生徒数が明らかになりました。
出典元:文部科学省「令和元年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」
上記のグラフから読み取れるように、不登校の児童・生徒数は年々増えています。平成28年から令和元年の4年間で、2万人以上増えました。
令和元年の1,000人当たりの不登校児童生徒数は、平成10年度以降、最多となっています。
不登校になる原因
文部科学省の「令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要」から、不登校になる原因を見ていきましょう。
出典元:文部科学省「令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要」
上記のグラフからわかる通り「先生のこと(30%)」、「身体の不調(27%)」、「生活リズムの乱れ(26%)」の順で高い割合になっています。
また、約25%の子どもは、「きっかけが何か自分でもよくわからない」と回答しています。
不登校になる理由はさまざまで、人間関係や学校に原因があると断定することはできません。そのため、不登校の原因を探る時は子どもの話に耳を傾けて、子どもの心にある負荷を取り除いてあげることが大切です。
特にいじめだった場合、誰かに話すことは非常に勇気がいるため、優しく受け止めるようにしましょう。
不登校支援に助成金はあるの?
現在、フリースクール費用の公的補助は無いのが現状です。
地方自治体によって補助金制度があるところもありますが、全校的に見るとかなり少ないのが事実です。
平成27年度に発表された文部科学省による「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う 民間の団体・施設に関する調査」でフリースクールの授業費用は、全国平均で月額3.3万円と判明しました。決して安い授業費ではなく、家計への負担は大きいと言えます。
フリースクールに公的補助が出ない理由は、国にフリースクールの定義がないためです。定義がなければ、国からお金を出す対象も正統性もありません。
実際に、フリースクールの名称として「フリースクール、フリースペース、デモクティックスクール、オルタナティブスクール、サポート校」などさまざまに存在しています。
フリースクールの名称や定義を統一すれば国からの補助金が出るという考えもありますが、「フリースクールは学校という国が定めた基準にとらわれず、自由な教育を行うことが特徴」なため、難しいのが現状です。
参考元:文部科学省「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う 民間の団体・施設に関する調査」
不登校支援のポイントを見てみよう!
ここからは、不登校支援のポイントを紹介します。不登校支援は、年代別に観点やサポートの方法が異なります。
子どもに寄り添った不登校支援ができるように、ポイントを押さえておきましょう。
不登校支援のポイント
不登校支援のポイントは「全ての教員で不登校への理解を深めること」と「不登校の子どもの視点に立って気持ちを理解すること」です。
子ども達を取り巻く環境によっては、どの児童・生徒にも不登校は起こり得ます。 全ての教員の中で多様な要因・背景によって不登校になっている事実を認識して、不登校を「問題行動」として判断しないようにしましょう。
まずは、教員の心の中にある「不登校児童・生徒が悪い」という根強い偏見を払拭することが大切です。
不登校の子ども達の多くは、「登校できない理由が自分でもわからない」「行かなきゃいけないと頭では思うけど、体がついていけない」などの状況にあります。
心の中では、「先が見えなくて不安.......」 「きっと自分なんてどうせダメなんだろう」といった、苦しさ、引け目、恥ずかしさ、焦り、罪悪感などのさまざまな気持ちで、自分を追い詰めてしまっているかもしれません。
そのため、周りの何気ない偏見の言動でさらに不登校の子ども達を追い込まないように、理解を深める姿勢を持ちましょう。
参考元:
不登校対策の基本と支援のポイント 誰もが和らぐ学校を目指して ~不登校に悩む子どもや保護者への温かな支援~ 神奈川県教育委員会
不登校支援のポイントを踏まえた実践例
ここからは、年代別に不登校支援のポイントを踏まえた実践例を紹介します。以下ご参照ください。
小学生
小学生の不登校支援は、早期発見が重要です。小学生から不登校になってしまうと、中学・高校受験に響いたり、今後の学習能力に影響を及ぼしたりする可能性があるため、早期発見・早期対応がカギになるからです。
まずは、子どもの休み始めは躊躇なく積極的に関わっていきましょう。そして、3日連続の欠席は、要注意です。保護者から欠席の連絡があっても、本人の顔を見に行くようにしましょう。
また、「月3日程度欠席する児童・生徒」の状況はひとりの教員だけで抱え込まず、教育相談コーディネーターや、つながりのある教員を中心に「チ ーム体制」で、丁寧な対応に努めることが大切です。
中学生
北海道教育委員会では、中学生の不登校支援においてさまざまな取り組みを実践しています。
例えば、生活リズムの改善に向けて医療機関と連携し、昼夜逆転の生活リズムができている生徒の医療機関へ受診の勧めや、家庭内ルールの設定(携帯電話の使用時間・時間帯・就寝時の置き場所)、青少年体験活動支援施設での体験活動の楽しさを味わってもらうなどのプログラムを実施しています。
取り組みの成果としては、2学期以降、当該生徒の家庭での携帯電話の使用時間は減少し、昼夜逆転の生活はある程度改善されたとのことです。遅刻は見られるものの、欠席はなくなっている成果が出ています。
参考元:
北海道教育委員会 不登校児童生徒への対応事例9(中学校第2学年男子)~生活リズムの改善に向け医療機関等の関係機関と連携した対応~
高校生
つげの高等学校では、高校生で不登校になった生徒に向けて「不登校からの柔軟な転校措置」を行っています。
学校に登校すること自体が負担となってしまった場合に、全てをリセットして新しい自分で高校に通う「リセット転校」もひとつの選択肢として、生徒の約6割を不登校経験者として受け入れています。
つげの高等学校はただ不登校生を受け入れるだけではありません。寮生活を通して「自ら問題解決する能力を育むプログラム」を実践しています。
全寮制の中で、上級生の寮長と副寮長に従いながら、寮生活の中で出てくる問題をお互いに話し合い解決することが重要と考えられているからです。
集団生活を経験することで、自分はどういう人間なのかを自覚し、社会で生き抜く力を身につけられます。
参考元:リセット転校をお考えのみなさんへーつげの高等学校
不登校支援ボランティア・職業を紹介
ここからは、不登校支援のボランティア・職業を紹介します。不登校支援のボランティア・職業と言っても多種多様で、さまざまな関わり方があります。自分に合った不登校支援ボランティア・職業を見つけましょう。
不登校支援ができるボランティア
不登校支援ができるボランティアは全国にさまざまあり、活動内容も多岐に渡りますが、今回は「NPO法人カタリバ」の不登校支援ボランティアを紹介します。
NPO法人カタリバでは、経済的事情で学校に行けない家庭へオンラインで学習機会を与える「キッカケプログラム」やPDCAを通じた非認知能力の拡大を重視した施設「ラーニングセンター」の運営などを行っています。
その他にも、学校・放課後・地域・行政などの多岐に渡る視点から、10代を取り巻く環境問題の解決に働きかける団体です。
参考元:不登校支援ボランティアをしたい!全国の不登校支援ボランティアをご紹介 マナリンク
不登校支援ができる職業
不登校支援ができる職業の代表は、「スクールカウンセラー」です。
スクールカウンセラーは、学校に在籍し、不登校生の心のケアをするためにカウンセリングをします。
また、スクールカウンセラーは、不登校の子どもの家庭を訪問する「訪問支援」や外出をサポートする「外出支援」も行います。
不登校支援の職業には他にも、「不登校専門の家庭教師」があります。不登校専門の家庭教師は、不登校の子ども達の学習の遅れを取り戻すための学習面のサポートを行います。
しかし、不登校の子ども達は人間関係に悩んでいる場合が多いため、適切な距離と高いコミュニケーション能力が重要な職業と言えるでしょう。
オンライン家庭教師のマナリンクでは、「不登校支援ができる職業とは?不登校支援に活かせる資格も解説!」で、さらに詳しく不登校支援ができる職業やオンラインサポートの方法まで解説しています。ご興味ある方は、ぜひご覧ください。
まとめ
今回は、不登校支援を視野に入れている方に向けて、不登校支援のポイントや不登校の現状を解説しました。
年々、不登校児童・生徒が増えてきている上、不登校にはさまざまな要因や背景があるため、簡単に解決できる問題ではありません。
そのため、不登校支援の需要は高く、今後ますます重要な役割を持つでしょう。
不登校支援を考えている方は自分に合った支援の仕方を選んで、不登校の現状を理解した上で取り組めると良いでしょう。
免責事項
こちらの情報は執筆段階でのリサーチ・状況において執筆されたものであり、随時内容のメンテナンスを行っておりますが、 現時点での正確性を保証するものではございませんのでご了承いただけますと幸いです。