発問の工夫とは?教科別に発問の工夫を授業に取り入れよう! (((途中)))
文部科学省の「新学習指導要領について」では、教員1日当たりの学内勤務時間が発表されました。
出典元:文部科学省「新学習指導要領について」
上記のグラフから読み取れるように、校長、副校長・教頭、教諭いずれの職種でも1日当たりの勤務時間は増加しています。
1日当たりの勤務時間が増加した理由のひとつには、「新学習指導要領の改訂」により教員がやるべき業務が増えた事実があるでしょう。
新学習指導要領の改訂の中には、今回ご紹介する「発問の工夫」も含まれています。多くの教師・講師は、発問の工夫を定義から調べ、具体例を考えるまで準備を要しているのです。
しかし、この記事を読んでいただければ、よい発問の定義や授業への活かし方まで理解できます。
今回の内容を参考に、生徒・児童の意欲を引き出せる発問を生み出しましょう。
文部科学省が定める「発問の工夫」とは?
発問は、子どもの思考や認識をゆさぶり、新たな「知」を提供するきっかけとなります。そして、学習活動に対する子どもの関心・態度を向上させて、学び方やものの見方・考え方を身に付けさせる重要な役割があります。
ここからは、文部科学省が定める発問の工夫を参考に「よい発問に求められる条件」や「よい発問の例」、「子どもの思考を揺さぶる発問のポイント」を紹介します。
発問の工夫を理解して、より質の高い授業を実践しましょう。
よい発問に求められる条件
よい発問に求められる条件は、以下の5つです。
1. 子どもにとって明瞭・明快な「発問」であること
2. 計画的・意図的な「発問」であること
3. 興味・意欲を呼び起こす「発問」であること
4. 児童生徒の実態に合っている「発問」であること
5. タイムリーな「発問」であること
以上5つのポイントをまとめると、子ども達の学習状況を判断しながら、わかりやすく意図的な発問を出すことが大切と言えます。
参考元:
授業を活性化する発問
よい発問の例とは
よい発問は、「閉じた発問」と「開いた発問」を組み合わせることがポイントです。
閉じた発問とは、「YES」 か「 NO」 で答えられるものか、答えがひとつしかないもの。 閉じた発問は、開いた発問の前段階として用いると効果的です。
開いた質問は、答えはひとつではないもので、自分の想像力や思考力を働かせて理由を考えるものです。
授業を進める上で、閉じた発問だけでは子ども達の思考力を育成することができず、授業が単調になってしまい、開いた質問だけでは難易度が高く授業についてこれない子どもが出るでしょう。
そこで、閉じた質問と開いた質問を組み合わせることが大切です。以下は、具体例です。
- 肉食動物の目は、顔のどこについていますか?
- 肉食動物の目が前方についているのは、なぜだと思いますか?
1は、閉じた発問の一例で、答えは「前方についている」であり、答えはひとつしかありません。2は、開いた発問であり、肉食動物が生きていく環境(狩の精度を上げるため)について考えなければならない問いとなっています。
このように、ひとつの事柄に関して閉じた質問と開いた質問を組み合わせることで、充実感・達成感が生まれ、子ども達の学習に対する意欲を高めることにつながります。
参考元:
子どもたちからうまく意見を引き出すことができません。発問
子どもの思考をゆさぶる発問のポイント
文部科学省は、子どもの思考をゆさぶる発問を以下のように提唱しています。
- 広義には、子ども達の学習に変化をもたらし緊張を誘う発問のこと。
- 狭義には、子ども達の思考や認識に疑念を呈したり混乱を引き起こすことによってより確かな見方へと導く発問のこと。
- 例 「桃太郎は、血も涙もない人間で、欲張りな人ですね。」
- →子ども達は、あらためて桃太郎の人間像を考える。
- 例 「この段落の要旨は、…ですね。」(選択肢の中の誤答にあたるものを提示する。)
- →子ども達は、その段落の内容を思い出して要旨を確認する。また、以降の段落を注意深く読むようになる。
引用元:
発問:文部科学省
このように、「発問の仕方をひとつに絞るのではなく、さまざまな方向性から子ども達の考えを導き出してあげること」が子どもの思考をゆさぶる発問と言えます。
また、ゆさぶる発問には「○○グループはこう言ったけど、この方法はどうかな?」とあえて間違いを問う方法や、「ほんとうにこれで良いのかな?」ともう一度考えを見返す時間を作る方法もあります。
しかし、発問に慣れてない生徒にとっては、間違いを言われたり疑われたりされるのはハードルが高いので、子ども達のレベルに応じた発問を工夫が大切です。
参考元:
発問
質問と発問の違いとは?
発問の重要性や発問のポイントは理解したものの、発問と質問の違いを理解していなければ、間違った発問をしかねません。ここからは、質問と発問の違いを解説します。
質問とは
「質問」は、分からないこと、知りたいことを相手に聞いて確かめることです。漢字の「質」は正しいかどうか確かめるという意味に由来しています。
「質問」で問うべき内容は、事実の有無や正誤の確認、理由の確認などです。そのため、質問の答えに「はい」「いいえ」の二択で答えられるものから、「○○です」と一問一答で完結するものもあれば、理由や状況を説明しなければならないものもあります。
参考元:
「質問」と「発問」の違いとは?分かりやすく解釈ー意味解説辞典
発問とは
「発問」は、教育現場で用いられる基本用語で、教育者から生徒への意図的な問いかけを指します。
「発」には行動を起こすという意味があり、発問は意図的に相手へ問いかける意味合いを持ちます。
発問の狙いは、生徒・児童の学習意欲を高めることです。
具体的には、「なぜそのようなことが起こったのでしょうか?」「AとBはどんなところが似ていますか?」のように、理由を自分の頭で考えて説明するための問いです。
質問と発問の違いをまとめると、質問は「自分の知りたいことを相手に尋ねる行為」で発問は「答えが存在しない場合にも、答える側は理由や状況まで説明する行為」です。
参考元:「質問」と「発問」の違いとは?分かりやすく解釈ー意味解説辞典
【教科別】発問の工夫を授業に取り入れよう!
ここからは、教科別に発問の工夫を授業に取り入れる具体例を紹介します。発問の工夫を教科ごとに取り入れるのは難しいわけではなく、少しの気づきと工夫で実践できます。
発問の工夫を実践する際は、目的を明確にして取り入れましょう。
発問の工夫を数学に取り入れる
発問の工夫を数学に取り入れる場合は、深い学びを作る仕掛けが必要です。以下に8つの発問の工夫を取り入れた具体例をまとめたので、ご参考ください。
参考元:数学的な思考力・表現力を育成する指導の工夫 -児童の「問い」を引き出すための課題提示・発問・振り返りの実践を通して-宜野湾市立普天間小学校 教諭 兼島 拓矢
発問の工夫を道徳に取り入れる
発問の工夫を道徳の授業で取り入れる際に、ひとり一人の価値観の違いを尊重することが大切です。文部科学省が学習指導要領で提唱するように、これからは「多様な考え方」が必要になる時代だからです。
そのため、道徳の授業では解決や結論の一致よりも、「解決を求めて考え合いより良い選択を追求していく授業」を目指しましょう。
子ども達が異なる意見や資料の中のさまざまな生き方に触れながら、自分の考え方や感じ方を見つめ直し、自分の生き方について問い直す時間を作るための発問を出しましょう。
以上のポイントを踏まえて、道徳の授業で発問を取り入れる順序は以下の3つです。
発問の内容を考える
発問の構成を作る際に、「子ども達にどういう姿」になってほしいか考えます。その姿に近づくために、どんな発問が適切か検討しましょう。
組み合わせを考える
「ゆさぶり発問」「批判的な発問」「二つの概念が矛盾する発問」などの補助発問を組み合わせて、子ども達の思考を深めます。
視点の追求をする
発問内容を以下のように、さまざまな視点から問いて、子ども達の視野を広げます。
問い返しや追求する発問→「なぜそう思うのか?」「〇〇とは何?」
詳述させる発問→「もっと詳しく教えて。」「なぜ,〇〇が大切なのか?」
切り返す発問→「みんなもそう思うの?」「〇〇君の気持ち分かる人いない?」
つっこむ発問→「本当にそうなの?」「どうして〇〇の大切さは分かるのに,できないのかな?」「どうすれば〇〇の行動ができるのかな?」等を取り入れる。
相手の立場になって考える発問→「〇〇さんの立場になって考えよう」
これまでの道徳授業では、「この時の気持ちは?」と場面ごとに発問を連発していましたが前述した①〜③のように生徒・児童 から物事を多面的・多角的に捉える考えを引き出せるように、事前の準備や視点の追求が必要になります。
参考元:思考を深める道徳授業づくり~発問の工夫を通して~
まとめ
今回は、発問の工夫について、よい発問の定義や授業への活かし方を紹介しました。発問は、生徒の学習意欲や思考力を大幅に変えるほど大きな役割を果たします。
しかし、子ども達の意欲を引き出すには、他にもさまざまな指導の極意があります。
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こちらの情報は執筆段階でのリサーチ・状況において執筆されたものであり、随時内容のメンテナンスを行っておりますが、 現時点での正確性を保証するものではございませんのでご了承いただけますと幸いです。