放課後児童支援員の求人事情と実際の学童現場を解説!収入を上げるオススメの働き方も大公開!
はじめに
まず、学童保育について再確認しましょう。
学童保育(がくどうほいく)とは、主に日中保護者が家庭にいない小学生児童(=学童)に対して、授業の終了後に適切な遊びや生活の場を与えて、児童の健全な育成を図る保育事業の通称。
引用元:学童保育 - Wikipedia
出典元:報道関係者各位 全国学童保育連絡協議会 学童保育(放課後児童クラブ)の実施状況調査結果
2019年のデータを見ると、学童保育の入所児童数は、126万9,739人となっています。2018年と比較すると、1年生から6年生までどの学年でも入所児童数は増えており、全体で5万8,000人増です。
このように学童の職員は今後ますます需要が増えるだろうという予測に対して、人材は不足していると言われています。今回取り上げるのは、学童の職員の中でも「放課後児童支援員」という学童保育施設で働く有資格者です。2015年4月、「子ども・子育て新制度」のスタートに伴い、新たに「放課後児童支援員」の資格が創設されました。学童保育施設での遊びと生活を支援し、健全育成を行うための専門資格です。
これまで、学童保育施設への有資格者の配置について、特に規定はありませんでしたが、現在では『放課後児童健全育成事業の整備及び運営に関する基準』に基づき、各学童施設に1名以上必ず放課後児童支援員を配置することが義務づけられています。
その放課後児童支援員の求人事情はどうなっているのか、実際の現場の状況を解説します。後半、収入を上げるオススメの働き方についてもご紹介しますので、ぜひご一読ください。
放課後児童支援員の仕事
学童の職員は、資格を持つ「放課後児童支援員」と、資格がない「学童指導員」に分かれます。両者の大きな違いは資格の有無で、仕事内容についてはあまり違いがありません。
放課後児童支援員の役割として、厚生労働省は次の①~⑥までを上げています。さらに、放課後児童支援員の活動内容について①~⑥まで続けます。
○ 放課後児童指導員の役割
- 子どもの人権の尊重と子どもの個人差への配慮
- 体罰等、子どもに身体的・精神的苦痛を与える行為の禁止
- 保護者との対応・信頼関係の構築
- 個人情報の慎重な取扱いとプライバシーの保護
- 放課後児童指導員としての資質の向上
- 事業の公共性の維持
○ 放課後児童指導員の活動内容
- 子どもの健康管理、出席確認をはじめとした安全の確保、情緒の安定を図ること。
- 遊びを通しての自主性、社会性、創造性を培うこと。
- 子どもが宿題・自習等の学習活動を自主的に行える環境を整え、必要な援助を行うこと。 ➃ 基本的生活習慣についての援助、自立に向けた手助けを行うとともに、その力を身につけさせること。
- 活動状況について家庭との日常的な連絡、情報交換を行うとともに、家庭や地域での遊びの環境づくりへの支援を行うこと。
- 児童虐待の早期発見に努め、児童虐待等により福祉的介入が必要とされるケースについては、市町村等が設置する要保護児童対 策地域協議会等を活用しながら、児童相談所や保健所等の関係機関と連携して対応を図ること。
- その他放課後における子どもの健全育成上必要な活動を行うこと。
参考元:【資料1】放課後児童支援員の役割及び職務と補助員との関係 (mhlw.go.jp)
具体的に言うと放課後児童支援員は、放課後の子どもの安全を見守るとともに、宿題の勉強や遊びを通して、子どもが基本的な生活習慣を身に着けるお手伝いをします。それだけでなく、自主性や創造性を育てます。また、集団生活の中で指導員や友達と関わることで社会性を育み、心と体が健やかに成長するよう見守ります。
さらに、それぞれの家庭との連携を図ることも、放課後児童支援員の大きな役割の1つです。お仕事の都合やその他の都合で学童施設に子どもを入所させざるをえない保護者の方に、学童でのお子さんの様子をお伝えすることはとても大切なことです。保護者の方が安心して預けられる環境をつくり、保護者の方と一緒に子どもの成長をサポートします。
放課後児童支援員の求人事情
放課後児童支援員の求人事情についてご説明します。
◦資格や実務経験などの必須事項がある
- 放課後児童支援員資格は、2015年に設けられた比較的新しい資格です。厚生労働省は、すべての学童施設に1人以上放課後児童支援員を置くことを義務付けています。仕事内容に関しては、学童指導員と変わりません。
- 放課後児童支援員の資格を取得するには、以下の条件の中から、いずれか1つに該当する必要があります。
〈実務経験を要しない方〉
保育士・社会福祉士・幼稚園等の教諭の有資格者
大学等での社会福祉学等の修了者
〈実務経験を要する方〉
高卒以上で2年以上児童福祉事業に従事した方
高卒以上で、かつ2年以上児童福祉事業に類する事業に従事し、市町村長が適当と認めた方(※2,000時間以上の勤務経験が目安)
5年以上放課後児童健全育成事業に従事し、市町村長が適当と認めた方(中卒等の方も含む)
放課後児童支援員は、保育士のような資格試験がありません。研修の受講とレポート提出のみで取得できます。研修期間は都道府県ごとに4日間・6日間・8日間と異なりますが、カリキュラム自体は、16科目×90分の合計24時間です。
内容としては、主に学童保育の運営保身や育成支援、心構え、子どもの発達に関する基礎知識を幅広く学習します。先に述べた通り、この仕事は保護者との連携なくしては成り立ちません。保護者や地域との連携なども、あわせて学びます。
資格を所得することで転職の際に有利になるのはもちろんのこと、キャリアアップ処遇改善の対象にもなります。学童保育への転職を考えていて、受講要件を満たしているなら、ぜひ取得を検討してください。
非正規雇用が大多数
放課後児童支援員の勤務形態を調べると、正規職員は少なく、多くが非常勤・臨時・嘱託・パートなどの非正規職員だとわかります。公営で正規職員は2,700人(2.9%)、公営で非正規職員は4万1,600人(45.0%)、民営で正規職員は1万7,200人(18.6%)、民営で非正規職員は3万1,000人(33.5%)というデータがあります。放課後児童支援員にとって、いかに正規職員が狭き門かよくわかるでしょう。
参照元:報道関係者各位 全国学童保育連絡協議会 学童保育(放課後児童クラブ)の実施状況調査結果
- 休みが取りにくい
休みが取りにくい原因の1つとして、学童クラブ全体が人手不足であることが考えられます。共働き家庭の増加に伴い、学童クラブにお子さんを入所させたいと考える親が増えてきています。その結果、保育園同様学童クラブに入りたいけれど定員超過で入れない待機児童と言われる子どもが増加傾向です。
コロナの影響で在宅で仕事をする保護者が増えたことなどが影響し、2020年の待機児童は2019年に比べて多少減少したものの、国の対策が追いつかない状況が、依然続いています。よって、現場は常に人手が足りない状態です。そんな中、イレギュラーな休みを取ることは困難です。
- 専門性が給与に反映されない
資格が必要な職にも関わらず、給料はかなり低いです。
◇「全国学童保育連絡協議会・2014年度実態調査」によると、半数以上の指導員は年収150万円未満であることがわかります。週5日以上勤務する指導員であっても、150万円未満46.2%、150万円以上300万円未満31.3%、300万円以上5.4%と、かなり現実は厳しいです。
(2014年のデータなので、「指導員」となっています。この時はまだ、指導員と支援員の区別はありませんでした。)
放課後児童支援員の資格がスタートしてからも、給料が大幅にアップしたという声は現場から聞こえてきません。有資格者しかなれない職業なのに、一般的な仕事の平均給料より低い保育士の給料と同程度、もしくはさらに下です。
◇勤務年数が増えても賃金はあがらない施設が51.9%という調査結果があります。国からの補助金が不十分で、低賃金労働が慢性化してしまっていることが、理由として考えられます。
雇用契約は、1年契約が圧倒的に多いです。正社員よりも契約社員登用が中心です。ある程度勤務してから正社員登用されますが、その時期は決まっておらず、職員は毎年更新を気にしながら勤務しています。
このように職場は非常勤職員や嘱託職員など非正規職員の比率が多いため、そのしわよせが正規職員にいきます。非正規職員が勤務したがらない早番勤務を担当したり、正規職員
しか対応できない「新規申し込み」や「児童のトラブル」などをこなします。さらに、「保護者対応」も正規職員の仕事です。仕事量が多いため、あるいは仕事の1つ1つが責任ある仕事であるため、正規職員は、精神的にも肉体的にも疲弊しきっています。
◇待遇は依然として改善されておらず、ないこと尽くしです。以下の通りです。
退職金がない(61.6%)、社会保険がない(36.5%)、一時金がない(53.8%)、時間外手当がない(39.0%)
学童クラブによって、待遇に差がみられるため、放課後児童支援員の仕事を探す際には細かいところまでしっかりチェックすることが大切です。
参照元:報道関係者各位 全国学童保育連絡協議会 学童保育(放課後児童クラブ)の実施状況調査結果
放課後児童支援員より高時給な子どもと関われる仕事
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